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2012年 12月 6日

「基準切り下げは命の問題だ」 
生活保護めぐり日弁連が集会

国の責任放棄を厳しく批判

 衆院選公示日の12月4日、生活保護基準の切り下げ反対を訴える市民集会が都内で開かれ、210人が集まった。現役のケースワーカーや僧侶、保護利用者らが現行基準でも支援が不十分な貧困現場の実態を語り、「切り下げによって命や健康が奪われることはあってはならない」と声を上げた。主催は日本弁護士連合会(日弁連)。

 生活保護は、失業や病気などで生活に困っている人に対し国が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立支援を行う制度。8月時点で保護利用者は過去最高の213万人を突破して増加傾向が続く。政府は現在、基準切り下げに向けた検討を進めている。

 4月にお笑い芸人の「不正受給」騒動による生活保護バッシングが相次いだためか選挙でも制度のあり方が争点に。民主党が「真に支援が必要な人に適切に認定を行う」と強調したほか、「不公正なバラマキを阻止」(自民党)、「社会保障は真の弱者支援に徹する」(維新の会)などの公約もあり、切り下げ圧力が強まっている。

▼弱い者いじめ、やめて

 生活困窮者の見回り活動や孤独死・餓死した人の供養を行う真宗大谷派僧侶の中下大樹さんは、集会当日も「死にたい」との相談が4件寄せられたと語り、「基準を切り下げることで誰が幸せになるのか」と問いかけた。

 申請窓口で相談を行う現役ケースワーカーの女性は、働いても収入が保護基準を上回らず、食事の回数を減らすなど生活を切り詰めている保護利用者の暮らしぶりを紹介した。そのうえで、「利用者が増えているのは本人が悪いわけではない。生活できる賃金・年金でないからだ。国民が安心できる生活を保障しない政府の方が怠けものである」と批判した。

 保護利用者も制度の改善を訴えた。新宿区役所で生活保護の申請を3度断られ、裁判で不受理の違法性を認めさせた60代の男性は「保護を受けて住所を定めないと仕事を探せないのに、行政は仕事に就くのが先と言う。弱い人への風当たりは強い」と話した。

 日弁連貧困問題対策本部長代行の竹下義樹弁護士は、一部政党の「不正受給対策の強化」について「不正受給はわずかなのに、(真面目に生活している)大半の保護利用者を攻撃していいのか。命が奪われ、健康が損なわれることがあっていいのか」と問題提起。「各党の政策をきちんと見抜くことが必要だ」と訴えた。

基準下げ反対は3党/生活保護質問状の回答

 法律家らでつくる「生活保護問題対策全国会議」(代表幹事 尾藤廣喜弁護士)は12月3日、生活保護制度改革に関する各政党への公開質問状の回答内容を公開した。回答を寄せた6党全てが貧困率の改善に意欲を示す一方、保護基準の切り下げに「反対」を示したのは3党だけだった。

 回答したのは、民主、自民、共産、維新の会、社民、国民新党の6党。基準切り下げに「反対」を表明したのは共産、社民、国民新の3党。民主は「審議会で検討中」、自民、維新の会も賛否を示さなかった。

 有期保護や医療費一部自己負担の導入、親族への扶養義務の強化は、自民、維新両党がいずれも「賛成」。一方、社民と共産はいずれも「反対」で、国民新は扶養義務強化を除き「反対」。民主は全て「検討中」とした。

 回答の詳細は、全国会議のブログで公開中だ。 

                                      

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