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2012年 2月17日

強まる新自由主義
 ギリシャ問題に悪乗り

公務員大幅削減、大幅賃下げ、最賃引下げ 

 ギリシャ議会が2月13日に、融資を受ける前提条件とされた追加の財政再建策を承認しました。労働者たちは全国でストライキを行って反対し、国会を取り囲みました。 
 今回の事態をみると、新自由主義の流れが再び勢いを増してきた、と考えざるを得ません。

▼野蛮すぎる再建策

 「賃金と年金のカットはあまりにも野蛮」「この財政再建策はギリシャの墓石になるだろう」――労働者たちは、国会前の抗議行動でこんなコメントをしています。
 EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)はギリシャへの融資を行う前提として、徹底した財政再建を要求。その関連法案の国会採決をめぐって大きな騒動に発展したのでした。
 EUなどが迫ったのは、(1)12年度中に公務員1万5000人の追加削減(2)労働法の規制緩和(3)最低賃金の大幅引き下げ(4)電力など公社の年金・給与の大幅カット(5)国の医療費の削減、など。公共サービスを中心に国の財政支出に大なたを振るう内容となっています。

▼最賃を引き下げ!?

 大企業などには負担を求めず、もっぱら労働者と一般国民に犠牲を強いているのが特徴です。
 なかでも問題なのは、民間労働者への攻撃がどさくさにまぎれて盛り込まれていること。最賃の引き下げや労働法の規制緩和、さらに銀行労組が経営側と締結した賃金の特別協定廃止と賃下げまで求めています。
 公務員や公共サービスの削減も、結局は国民生活にツケが回ります。でも目先の国の支出を減らすという意味では、まだしも筋が通っています。 
 しかし、民間労働者に対して最賃引き下げや労働法の緩和を求めるというのは、どういう了見なのでしょうか。国の財政再建とは直接関係があるとは思えません。

▼根本は企業救済

 これは、企業の競争力を高めて経済を再生させ、税収を上げるための策なのだと解説されているそうです。労働者・国民の犠牲のもとに、企業を救おうという魂胆です。
 国内の需要を冷やしておいて、企業からの税収が増えるなどというのはあり得ません。国民が払う税は減るし、生活保護費などがかさむのも必至です。獲らぬタヌキのなんとやらで、詭弁(きべん)に等しいものです。
 「徹底した規制緩和と自由化で企業の競争力が高まれば、みんなハッピーになるのだ」という市場万能主義の考え方そのものといえます。

 2008年のリーマンショックで、世界はこうした考え方を反省したはずでした。ところが、「ギリシャ危機」に乗じてまたぞろ復活してきたということです。

 国際労働団体のITUC(国際労働組合総連合)は、EUやIMFの姿勢を厳しく批判しています。
 一方的に労働者の賃金、年金、雇用、権利を切り縮めればギリシャはどうなるのでしょう。ITUCは、雇用不安や失業の増大で経済再生は一層困難になると指摘。税収も伸びず、結局は赤字財政がずっと続くと警鐘乱打しています。そうなれば、また財政支援が必要になり労働者の生活が切り縮められてしまいます。この悪循環からは逃れられません。

▼まるで火事場泥棒

 最賃引き下げなどは、新自由主義を信奉する人々の悪乗り、火事場泥棒とも言えます。
 ギリシャの事態に対して日本では「よそから支援してもらうんだからわがままを言うのはおかしい」と、ストを行っている労働者たちを非難する声もあります。しかし、そういうレベルの話ではありません。
 要注意です。(連合通信・デスク)


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