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2012年 1月31日

震災・原発の議事録つくらず
 政府は基本プレーもできない

文書管理法にも違反 

 2011年に施行された公文書管理法第1条は、公文書にある重い意義を次のように定めています。
 「国の活動や歴史的事実の記録である公文書が、健全な民主主義の根幹を支える知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである」
 そして、第4条では官僚に対し、閣僚らで構成される会議の決定や了解、その経緯について「文書を作成しなければならない」と義務付けています。

▼ひど過ぎる言い訳

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に関する10の組織で、会議の議事録が作成されていないことが分かりました。原子力災害対策本部、緊急災害対策本部、被災者生活支援チームの3つは議事の概要さえ残されていませんでした。

 原子力災対本部と政府・東京電力統合対策室の事務局である、経済産業省原子力安全・保安院は「議事録なし」とスクープしたNHKにこう弁解しました。

 「業務が忙しく、作成する暇がなかった」

 公文書管理が担当という岡田克也副総理は「事後につくることが認められないわけではない。直ちに処分とかの話でもない」と述べました。出席者の記憶や個人メモを参考に文書をつくるとしています。

▼行政が犯した違法行為

 今回の件が公文書管理法に違反しているのは明らかです。事後作成が認められれば、政府に不都合な部分を隠す手立てを与えることになりかねません。

 大震災と原発事故は世界的な出来事であり、政府組織の会議で出された情報や会話を正しく残すことは、災害対応を検証するためには絶対欠かせません。歴史の教科書や貴重な文献も、先人が時の政権のありさまをきちんと記録してきたからこそ存在するのです。

▼政策の正当性も失う

 政府のトップである野田首相は「事故の教訓と経験を国際社会と共有し、国際的な原子力安全の向上に貢献していくことがわが国の責務」と語ってきました。しかし、正確な公文書もなく、どのように教訓と経験を伝えるのでしょうか。

 保安院はまたもや大失態を演じました。それでも懲りずに「ストレステスト」や「原発事故の技術的知見」に関する意見聴取会を連日開き、原発再稼動の道筋を付けようと懸命です。

 その姿は、基本中の基本である「民主主義の根幹を支える知的資源」を残さなかった官僚の集まりとは思えないほど機敏です。もっとも、1月18日に意見聴取会での一般傍聴者の排除は、非民主主義的という点で同じでしょう。


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