京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2012年 10月25日

大飯原発の判断が大きなカギ 
規制委の活断層調査

厳格化の方針貫けるか

 原子力規制庁が、原発の敷地を走る断層(破砕帯)が活断層かどうかを確かめる調査を始める。規制委ではまず、関西電力大飯原発(福井県)などを調べる予定で、活断層と判断されれば電力会社に運転中止を求める見通し。唯一運転中の大飯で中止となれば、全国の原発再稼働は遠のくが、逆の判断が出れば再稼働に弾みがつくのは確実だ。

 活断層は、地中のひびである断層のうち、数十万年前から繰り返し動いた跡があり、今後も動く恐れがあるものを指す。動けば地震を引き起して地盤をずらすため、国は「耐震設計審査指針」を定め、活断層が敷地の真下にあれば原発は建てられないとしてきた。

 しかし、これまでの活断層調査は専ら電力会社任せ。規制当局は「問題なし」とする結果の追認にとどまり、在野の研究者の警鐘にも耳を傾けてこなかった。そうしたなかで福島原発事故が起こり、調査に対する批判が上がったうえ、各原発の敷地や付近の海底などに活断層があるとの指摘も続出。新たに発足した規制委が再調査することになった。

▼批判的な学者が加わる

 規制委が調査する原発は、特に指摘が多い東通(青森県)、大飯、美浜、敦賀、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)、志賀(石川県)。地震学者の島崎邦彦委員長代理をはじめ外部の有識者を交えたチームで当たるほか、大飯と志賀については現地に行く別チームをつくった。別チームは、活断層や地震などの各学会の推薦を受けて島崎氏が選んだ4人で構成。これまでの調査を強く批判してきた東洋大の渡辺満久教授も加わった。

 有識者チームは11月2日に大飯に現地入りし、関電が規制委の前身である原子力安全・保安院の指示で実施している再調査の状況を確認する。それを材料に関電の報告も見たうえで最終判断を下す予定だ。

▼定義がポイントに

 ただ、23日の事前会合ではメンバー間で活断層の定義を決めきれなかった。島崎氏は「耐震設計審査指針では後期更新世(12~13万年前)に動いた断層といきなり出てくる」と疑問を投げかけ、渡辺氏も「地盤を動かすものを一括して(活断層と)判断すべき」と主張した。これに対し、立命館大の岡田篤正教授は「われわれは大きな断層しか調べてこなかった。考え方の整理に時間がかかる」と反論した。定義が変われば同じ参考材料を見ても判断結果は異なってくる。今後の大きな焦点なるのは必至だ。

 一方、国の地震調査研究推進本部は「40万年前」を目安としている。会合後、島崎氏はそれを念頭に調査する考えを示し、同時に現行の審査指針を厳格化して来春にも策定する安全基準の原案に盛り込む意向も明らかにした。これに対し、電力業界や外部有識者などから抵抗が出ることも予想される。調査や策定作業の過程で、責任者である島崎氏が意思を貫けるかもポイントになってきそうだ。(連合通信)                                         
 


府職労ニュースインデックスへ