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「エネルギーは国産でつくれる」 |
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「市民風車」で未来描く(下) |
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サーフィンの名所としても知られる波崎海岸には、不法投棄された大量のゴミが打ち上げられていた。 2001年に地元の青年会議所OBらが設立したNPO「波崎未来フォーラム」は、企業や学校、行政に呼びかけて清掃活動に取り組んできた。05年には約1万人が参加し、美しい海岸を取り戻せた。ただ、清掃は継続こそ力。活動資金は協力してくれる人たちの手弁当に頼りきりで、続けるにはNPOが自ら収入源をつくる必要があった。 ▼酒飲み話の延長から そこでNPOが目を付けたのが、すでに北海道で始まっていた「市民風車」だった。市民自らが風車を回しておこした電気を電力会社に売り、現金収入を得る仕組みだ。デンマークでは当たり前のように市民風車が回っていることも知った。 メンバーの一人である遠藤道章さんは振り返る。 「実は、酒飲み話の延長から検討が始まりました。でも、建設に3億円かかると言うと『担保もないから資金調達は無理』と立ち消えそうになりました」 ▼ファンドで資金集め その後、一般市民から資金を募る「自然エネルギー市民ファンド」という会社が都内にあるとわかった。半信半疑で会社説明会を見に行くと、会場は満席。1カ月後には市民風車建設のファンド(1口50万円で募集)に、全国から5億円近い金が集まっていた。 遠藤さんたちは「市民は環境のためにこれほどお金を出すのか」と驚いたが、「ファンドで資金を集めれば、地元に風車を建てることができる」と決心。NPO内には反対意見もあったが、協議を重ねて事業化の話を進めた。 1年かけて風の具合を確かめる風況調査や、住民への説明などを経て、ファンド資金と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO=経済産業省所管の独立行政法人)の補助金を合わせて3億7000万円の建設費が集まった。売電先となる東京電力とは1キロワット時当たり約10円で契約。NPOとは別に「波崎未来エネルギー」を立ち上げて、「なみまる」は07年夏、全国10基目の市民風車として誕生した。 ▼地域貢献始まる 運営会社の売電で積み増した内部留保が、ファンドのローンを上回るのはあと7年ほどかかる。NPOの最終目標である「地域活動の資金確保」は道半ばであるが、「なみまる」は地域貢献を果たし始めている。 3・11の影響で、神栖市は数カ月ほど一部で断水が続いたため、NPOは農家から借りていた畑で掘った井戸を一般に公開。一人暮らしのお年寄りに生活用水を届ける活動を行った。さらに、津波に庁舎ごと飲み込まれるなど壊滅的被害を受けた岩手県大槌町を支援しようと、これまでに6回も出向いて炊き出しをした。 これらの活動資金は「なみまる」が生み出したものである。波崎海岸の清掃活動をしたボランティアグループには寄付も毎年欠かしていない。 ▼「やり方と工夫次第だ」 遠藤さんは本業である運送会社の経営のかたわら、「なみまる」の元に通って状態をチェックしている。そうした日々を送るなかで、「エネルギーはやり方と工夫次第で国産でつくれる」という確信が芽生えてきた。 「火力も原子力も燃料は海外からで、特に原油は年間25兆円も使って輸入している。でも、再生可能エネルギーの元は自然の力。国内でつくることができます」 「なみまるをはじめ、国内の風車は外国製が多い。日本で建設から保守、部品製造まで手掛ければ、中小企業の仕事につながり、円高も関係ありません。要は国としてやるかどうかが問題ではないでしょうか」 |
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