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2012年 6月18日

固定価格買い取り制度(FIT)が7月スタート 
再生エネ普及元年になるか

将来は原発33から35基分の発電量に  

 再生可能エネルギーの普及を目指す仕掛けが7月から始まります。固定価格買い取り制度(FIT)です。

 FIT制度は太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスから発電された電気を電力会社が固定価格で買い取る仕組み。昨年に国会で成立した「再生エネ特措法」にもとづいて実施されます。

 買い取り価格は、有識者の委員会で検討されて、再生エネ発電事業者の要望に対して「満額回答」となりました。特措法で「集中的に利用拡大を図るため、法律施行から3年間の買い取り価格は、供給者の利潤に配慮する」となっていたからです。価格は普及状況などを見ながら毎年変わります。

 当初は新たな発電施設だけが買い取りの対象になる予定でしたが、今までのノウハウを生かした設備更新を促せるとして、既存施設の電気も買い取りに含まれることになりました。専門家からは「今年が再生エネの普及元年になる」と声も聞かれます。

▼10年後には原発35基分?

 電力会社は、買い取りにかかるコストを家庭や企業の電気料金に上乗せします(発電促進賦課金)。経産省の試算では、負担は1カ月の使用電力が約300キロワット(kW)の家庭で月70~100円程度。その一方で、再生エネの発電量は今年度だけで250万kW増える見込みで、同省は10年後の2022年度には約3200~3500万kW程度まで伸びると予想しています。この量は出力100万kW級の原発32~35基分。つまり、月々缶コーヒー1本程度の負担で、原発の依存度をぐっと下げられそうです。

 ただ、多くの課題がまだ残っています。発電促進賦課金については、電力を大量に消費する企業が条件次第で最大8割も減免される措置が設けられました。コスト増による経営圧迫を防ぐためですが、エネルギー政策の転換に必要な省エネとは逆行しています。

 特措法第5条で「電気の円滑な供給確保に支障が生ずるおそれ」があれば、電力会社が再生エネ事業者からの送電を拒めるのも心配です。再生エネの普及は、原発の必要性を薄めることにつながるので、そうした事態を危ぐする電力会社が条文をタテにする可能性も否定できません。また、現在は送電網整備も電力会社の責任とされており、普及に向けては莫大なコスト負担をどうするのかも検討する必要があります。


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