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2012年 4月17日

本当に電力は足りないのか? 
政府の怪しい主張

大飯原発再稼働の根拠にならず 

 枝野幸男経済産業相は4月14日、福井県の西川一誠知事らに関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を要請した。その最大の根拠は「電力不足」。再稼働を判断した閣僚会合に加わり、経産相の福井行きにも同行した民主党の仙谷由人政調会長代行は、「真っ暗な中で生活を送るわけにはいかない」と危機感を訴えた。
 このセリフを真に受けてもよいのだろうか。

▼政府試算のウソ

 政府は関電の数字を元に「2011年夏の需要ピーク時並みで431万キロワット(kw)不足」と試算するが、関西では昨年夏、東京電力管内のように国の電力使用制限令は出されなかった。つまり、節電の効果をほとんど反映していないのだ。

 関電は需要ピーク時に供給を抑えられる「需給調整契約」を企業と結び始めているが、この分も試算には入っていない。やはり昨夏に不足が心配された東京電力は、ガスタービンなどの火力を増強し、企業の自家発電分などを買い取って、供給力をアップさせた。試算ではこうした検証も省かれている。

▼他社の融通も無視

 もし、需要に供給が間に合わなくても、沖縄を除く電力9社は連系線でつながっており、互いに電力を融通することができる。
 関西電は隣接する北陸、中部、中国、四国の4社から計857万kwを受け取れる計算で「不足」を十分に補えそうだ。4社がフルに融通できなくても、東電、東北、九州からの後方支援も期待できる。

 2月3日朝に九州電力の新大分火力発電所が全面停止した際、本州6社は約30分間、九電に141万kwを送り届けた。実はそれまで本州から九州に送れるとしてきた電力量は「43万kw」。融通能力は公表の数字よりも高そうだ。

▼墓穴を掘るだけ

 これらの事実に目を背ける政府の姿勢は、自らをうさんくさくさせている。「大飯3、4号機が再稼働すれば関電は少なくとも1日5億円を手にできる」(「原子力発電に反対する福井県民会議」の中嶌哲演代表委員)という事情におもねっていると疑われても仕方ない。

 ただでさえ、関西の首長たちは、政府が免震棟や防潮堤の建設を先送りにした「政治判断」に反発している。しかも、再稼働に強く反対する橋下徹大阪市長の原発問題のブレーンは、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也代表。市長が「民主党政権を倒すしかない」と息巻くのも、飯田氏が本当の電力事情を伝えて「最悪でも計画停電をすれば再稼働のロジックは成立しない」と助言しているからだ。

 福井県の西川知事は、経産相の要請に「こうした状況では県民の理解を得るのは困難」と述べて「電力不足」だけでは応じられないとの認識を示した。大飯原発の地元、おおい町の時岡忍町長も「関西圏の理解は必須」とした。根拠を正しく説明できない政策は実現させてはならない。                    


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