京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2012年 1月21日

大飯原発「妥当」が出るまで
 ストレステスト意見聴取会 ドキュメント〉

保安院、警察の力で市民排除 

 経済産業省原子力安全・保安院は1月18日、関西電力が出していた大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性検査)の結果を「妥当」と判断した。保安院がテストの審査結果をまとめたのは初めて。

 保安院はこの日、専門家による意見聴取会でお墨付きを得ようと、傍聴を認めず、抗議する市民たちを警察の力で排除。井野博満東大名誉教授と、後藤政志芝浦工大講師の委員2人を欠席扱いにし、聴取会を強行開催した。

 聴取会をめぐっては、進行役の岡本孝司東大教授、阿部豊筑波大教授、山口彰大阪大教授の3人が、大飯原発のメーカーである三菱重工業グループから合わせて約4000万円の寄付を受けている。この日抗議した市民や井野、後藤両氏は3人の解任を求めていた。

 「妥当」が決まった経緯を時系列でまとめた。
    ◇
 16:00 聴取会会場は経産省別館の11階会議室。委員や電力会社、テスト審査を委託された原子力安全基盤機構が入る一方で、一般市民は10階の部屋へ案内される。部屋では会場を映し出すモニターに「ふざけるな!」と怒号飛ぶ。

 16:15 聴取会の開始時間だが、市民20人以上が会場に乗り込み抗議。市民たちは、メーカーの寄付を受けた岡本氏ら3教授に「あなた方は利益相反(一方の利益になると同時に他方の不利益になる行為)だ」と繰り返し問いかけるが、3氏は目線合わせず。

 16:30 俳優の山本太郎さんが委員や保安院幹部に向かい、「しがらみがあるのは分かるが、われわれは命がかかっている。福島原発事故をどう考えているのか」。これに対し、保安院の黒木慎一審議官は「ここはお答えする場でない」。

▼福島の声を無視

 17:00 福島から来た女性が「原発事故は収束したのですか?」と問うが、委員や保安院側は答えず。  
 経産省の通報で省内に警視庁の警官隊が待機していることが判明。「知る権利を侵すのか」と市民怒る。審議官ら保安院幹部がしきりに電話で連絡取り合う。
 17:40 黒木審議官が「別室で協議を」と呼びかけ。委員や電力会社は、市民を振り切って移動。後藤、井野委員は「この場で話し合うべき」と残る。
 17:50 保安院の吉澤雅隆広報課長が報道陣に退室要請。市民の「真実を伝えるべき」との声に押され、大半の記者動けず。

▼枝野大臣、市民を批判

 19:20 吉澤課長が現れて「聴取会を本館17階の国際会議室で開くので報道陣は移動を。傍聴は認めない」と告げる。怒った市民たちが課長に詰め寄り、撮影しようとしたカメラマンも加わって騒然。私服警官が乱入し、「オラッ!」と怒鳴りながら力ずくで市民を課長から引き離す。
 この間、枝野幸男経産相が2度、省内で緊急記者会見。「ルールを守ってもらいたい」と市民を批判。

 19:40 吉澤課長が後藤、井野委員に出欠確認。2人が「マスコミを入れただけでは公開ではない。出たくても出られない」と言うと、課長は「欠席でよろしいですね」。

 20:00 後藤、井野氏抜きで聴取会開始。冒頭に枝野大臣は出席委員に謝罪。進行役は引き続き岡本氏。
 21:00 保安院側が大飯原発3、4号のテスト結果を「妥当」と表明。

 21:30 委員から質問や意見は出たが、おおむね了承。2月8日の次回に文言を見直すことにした。


府職労ニュースインデックスへ