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2012年 5月29日

「原発は不良債権でしかない」 
「さようなら原発1000万人アクション」が講演会

東海村村長など各界の著名人が発言 

 脱原発の署名活動を続ける「さようなら原発1000万人アクション」が5月26日、運動をさらに広めようと都内で講演会を催した。茨城県東海村の村上達也村長や専門家らが脱原発の必要性を力説し、約550人の参加者は運動に取り組む思いを新たにしていた。

 原子力産業の拠点がある村のリーダーである村上氏は「村は財政的に依存してきたが決意した。原発はいらない」と断言した。

 経済学者の金子勝慶大教授は、11年第3四半期の電力業界決算で、黒字を上げたのは沖縄電力など原発依存度の低い社だった点を紹介。「原発は不良債権でしかない」と強調した。

 経産省のストレステスト意見聴取会委員である井野博満東大名誉教授は「すべての原発は危険。公害運動から学ぶべきは発生源から止めること」と政府の再稼働の動きを批判。環境エネルギー政策研究所の松原弘直主席研究員は、今夏懸念される関西の電力需給について、「去年のように使用制限令は出ていない。産業界がピーク時に節電すれば電力は足りる」と説明した。写真家の大石芳野さんは、福島第一原発20キロ圏内の実態を画像で伝えた。

▼署名は700万筆超

 ルポライターの鎌田慧さんら著名9氏を呼びかけ人としたアクションの署名数は、政府と国会への提出時期を延ばした効果で、700万筆を超えた。実行委は6月6日の集約集会を経て、提出する予定だ。

                         〈5・26さようなら原発講演会から〉(1)

 5月26日の「さようなら原発講演会」では、脱原発がなぜ必要かという論点が改めて明らかにされた。政治、経済、技術面それぞれ立場からの発言者の講演内容を3回に分けて紹介する(発言は連合通信の文責)。

◇「原発依存は時代遅れ」茨城県東海村長 村上達也氏

 私が今日ここにいられるのは奇跡だ。東海第二原発の防波堤工事を終えたのは、東日本大震災からわずか2日前。終わっていなければ、原発は津波で全電源喪失していただろう。

 私は、福島原発事故の社会的背景を語るのに「安全神話」「国策」「想定外」「仮想事故」の4つの言葉を使っている。神話は「外国で事故が起きても日本では起きない」とするうぬぼれ。国策は太平洋戦争の推進に使われ始めた言葉で、原発が極めて国権的に進められてきたことが分かる。

 想定外というのは絶対違う。04年のスマトラ沖大地震で大津波が発生しても、06年からの原発のバックチェック(安全性確認)で考慮されなかったからだ。国は原子力施設での事故を想定しながら「『仮想』だから具体的対応は必要ない」と文書で明記してきた。

▼「持つ資格はない」

 もともと東海村は研究施設を誘致したはずなのに、いつの間にか原発が建てられてしまった。もし東海原発で重大事故が起きれば、100キロ余りしか離れていない東京も放射能に汚染される。これらの被害を補償していけば日本は滅んでしまうのに、立地審査で建設が認められたのだ。

 そして、国は福島事故で住民よりも原子力政策を守ろうとした。昨年6月には、事故状況も分からず補償も決まっていないのに、安全宣言を出して玄海原発を再稼働させようとした。今年4月には信用が失墜した保安院や原子力安全委による基準で、大飯原発の再稼働を政治判断しようとしている。

 原理原則もなくその時の都合と目先のカネで進めている。もう原発を持つ資格はない。

 推進勢力は事故後も何も傷付いていないばかりか、元の状態に戻そうとしている。東電はまだ決まってもいないのに、村役場へ値上げを通知してきた。原発が止まると電気代が上がると脅しているのだ。原子力委員会が核燃料サイクルの評価を秘密会議で書き換えたのも、原子力ムラの正体があらわになっただけだ。

 原子力政策は戦前の軍閥と同じで、中央集権的で反民主的なシステムだ。再生可能エネルギーが全発電量の数パーセントしかないのも、原発を維持するために圧殺してきたから。原発は事故が起きればすぐ止まるが、発電を(再生エネなどによる)分散型にすれば、どこかで止まっても補うことができる。

 原発依存は時代遅れであり、疫病神、貧乏神だ。村は財政的に依存してきたが、今は決意している。東海村に原発はいらない。    


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