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2012年 8月24日

若者の安定雇用へ決議採択
〈ILO総会で決まったこと〉(2)  

労働者保護の緩和にくぎ刺す 

  ILO総会では、深刻な若者の雇用危機が主要なテーマの一つとなりました。採決された決議は、若者の失業と不安定雇用が増えていることについて、「私たちの社会基盤を脅かす」との憂慮を表明。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の創出を「世界的な最優先課題」と位置づけ、緊急的措置をとるよう求めています。

▼カギは「ディーセント」

 若者の雇用危機については、05年に同様の決議が採択されています。しかし、その後も事態は改善せず、世界同時不況やその後の緊縮政策などを経て、逆に悪化しています。若者の失業者数は世界全体で7500万人近くに上り、07年から400万人増えました。その多くが一度も仕事に就いた経験がなかったり、不安定雇用を余儀なくされていることに、決議は深い憂慮を示しています。

 そのうえで、決議とともに確認された最終文書は若者の雇用について、(1)雇用・経済政策(2)就業可能性(教育訓練など)(3)労働市場政策(4)起業(5)権利――という課題ごとに各国政府が行うべき方策を示しました。

 ディーセント・ワークの創出を促す政策を進めるために、完全雇用を目標とするマクロ経済政策を重視。高い技術が得られる職業教育・訓練や、労働基本権の保護、最低賃金順守などが盛り込まれ、労働側は「おおむね評価できる内容」とみています。

 若者の失業の改善に取り組む際、働き手の保護を軽視したり弱めてはならないとしたのも大切な点。若者の雇用を創出するとの口実で、「40歳定年制」「労働契約は『有期』を基本とする」という近未来の日本社会像を示した野田政権は、ILO総会決議との整合性を改めて考え直すべきでしょう。

▼非正規評価の文言を削除

 総会で労働側は、雇用状況が悪化したのは若者の資質に問題があるからではなく、マクロ経済政策に原因があるとし、緊縮政策の見直しを盛り込むよう主張しました。決議には「緊縮政策の見直し」の文言は入りませんでしたが、完全雇用を促す経済政策をはじめ、景気対策、公共雇用プログラムなど、若者の雇用創出のための財政出動を求めています。

 雇用流動化策の是非も焦点に。総会前に作成された原案には「パート・派遣など柔軟な雇用は、安定的な雇用への飛び石(ステップという意味)となり得る」との文言がありました。非正規雇用を温存させたい使用者側の決まり文句で、日本でもみられます。

 これに労働側が猛反発。この問題を話し合った委員会で異例の投票となり、ラテンアメリカやアフリカ諸国の政府側委員ら圧倒的多数の支持を得て、削除させました。非正規雇用に過大な評価を与えることにストップをかけたのです。

 最先端のホットなテーマについて、世界の政労使の代表が話し合って決めた合意です。法的拘束力はありませんが、若者の雇用について考える際の公式の指標となるもの。若者の失業、働き方を改善するうえで、関係者が真摯(しんし)に受け止めるべき内容です。

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