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無法企業をやっと契約解除に |
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市場化テストの見直しが必要 |
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法務省は7月17日、法務局の登記業務に導入された「市場化テスト(民間競争入札)」で、最も多く落札していた民間2社に対し、契約解除を通知した。旧小泉政権が「民間の手法を導入する」と鳴り物入りで進めた「市場化テスト」。その内実は、公共サービスの現場に法令を守らない「ブラック企業」の横行を許すものだった。導入事業の精査、見直しが必要だ。 ▼目につく対応の遅れ 契約解除となるのはATG、アイエーカンパニーの2社。岡山市内に拠点を置き、同族が役員を占める関連企業だ。 法務省は7月2日、2社に対し、社会保険料の多額の滞納を指摘したうえで、同日から1カ月間、委託する約120登記所のすべての業務停止を命じた。内閣府官民競争入札等監理委員会が審査を行い、同省は17日、8月6日以降の契約解除を伝えた。同委員会によると、市場化テスト導入事業での契約解除は初めて。 競争入札を管轄する内閣府と、法務省が重い腰を上げたものだが、「なぜもっと早く解除できなかったのか」と、関連する労組から、対応の遅さに疑問の声が上がっている。 法務省は昨年、登記情報の不正入手で2度、2社を一部業務停止処分にした。この時点で法律に基づく契約解除を行えたはず。内閣府も同省に意見を言う立場にあったが行わず、その後も委託が続けられた。 今回、すべての業務停止を命じる原因となった社会保険料の過少申告も早くから指摘されてきたこと。昨秋の時点で刑事告発した労組の動きに反し、当局の反応は鈍かった。 ▼氷山の一角では 市場化テストは「官から民へ」を叫んだ「小泉改革」の目玉の一つ。内閣府は昨年6月時点で、登記業務への導入効果を62億円の節減と誇示している。 しかし、失ったものは大きい。市場化テストの導入で、それまで40年近く同業務を受託してきた民事法務協会の職員約1400人が職場を追われた。ベテラン職員を失ったことや、人員削減による窓口業務の混乱が今も伝えられる。 処分公表後の7月12日に労組が行った内閣府監理委員会への要請で、応対した担当官は「適切な対応を行ってきた」と繰り返すばかりで、重大な結果を招いたという認識の表明がなかったという。 2社は社会保険料の過少申告だけでなく、登記情報の不実記載や、残業代不払い、団体交渉拒否などの違法行為も問われていた。内閣府と法務省はまず、法令無視の「ブラック企業」を公共サービスの現場に横行させてしまったことを猛省すべきだろう。 内閣府によると、同テストの導入決定は170事業に及ぶ(昨年6月)。登記業務の場合、粘り強く弊害を指摘し続けてきた労組があったため、違法の一端が明るみに出たが、導入事業全体からすれば、氷山の一角とも考えられる。制度はもちろん、導入事業の精査と見直しを行う時期を迎えている。 〈メモ〉 民事法務協会が一昨年の入札に漏れ、約760人が職場を失い、37人が同協会に対し継続雇用を求めていた争議は今年4月、東京都労働委員会で和解が成立。来年度の入札で、協会が落札の努力を行うことと、一定の条件の下での雇用保障を約束した。一方、団交拒否などをめぐる2社との争議も同月、両社が労組に謝罪することなどで和解している。 協会職員らが加入する民事法務労組と全労連・全国一般東京地本は、2社の契約解除と国の責任による雇用確保を求めてきた。 |
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