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2012年11月20日

退職手当の大幅削減を強行採決
わずか1時間の審議で  

402.6万円の削減の重要問題なのに

 臨時国会に提出されていた国家公務員の退職手当削減法案は、衆議院の解散がひかえる16日に審議入りし、午前中の衆議院総務委員会での趣旨説明・質疑からはじまり、午後の参議院本会議での採決までを1日でやりあげ、成立を強行しました。退職手当削減法案は、国家公務員の退職手当が民間を402万円上回っているとして、3年間の経過措置を設け引き下げるというものです。地方公務員にも影響を与えるもので、地域経済に大きな打撃を与えることは間違いありません。

 衆議院総務委員会では、橘慶一郎(自民)、福嶋健一郎(国民の生活が第一)、西博義(公明)、塩川鉄也(共産)、柿澤未途(みんな)、吉泉秀男(社民)の各議員が質問に立ちました。 多くの議員が質問の冒頭で、わずか1時間の審議で法案を強行採決することに対して抗議の意思を表明しました。しかし、討論の終了後、共産党、社民党、みんなの党(削減額が少ないとの理由)は反対しましたが、賛成多数によって法案は強行採決されました。

 国民の生活が第一の福嶋議員は「1時間の審議で法案の賛否を決めなければならないような状況をつくったことは大きな責任が問われる問題だ。民間と公務で402万円もの差があるというのは本当に妥当性があるのか? 中小企業と比べると下がるのではないか?」と述べました。

 公明党の西議員も「十分な議論ができないバタバタ劇は残念だ。法案の十分な議論が必要だ。また、5年の経過で官民較差が大きく広がった。大きく広がる前に是正すべきだ。400万円の削減では不十分。そもそも退職金と企業年金一時金を合算して官民比較しており、企業年金一時金を除くと官民較差は1900万円になる」と法案の議論と減額の不十分さなどを述べました。また、みんなの党の柿澤議員も西議員と同様に減額の不十分さを述べました。

 これらに対して、樽床総務大臣は「人事院の給与勧告と同じものを使うことが現時点では妥当だと考えており、概ね5年ごとに見直していく。公務と民間は歴史的経緯が異なるためトータルで官民バランスをはかってきたが、今度は検討をはかりたい」と答え、笹島人事・恩給局長は「長期勤続報奨の性格があり、安定的に支給する必要があるため、概ね5年ごとの調査で官民均衡をはかってきた。今後は調査の頻度など改善措置をはかりたい」と述べました。

 社民党の吉泉議員は「国家公務員と地方公務員、その家族も含めて数百万人の生活設計に重大な影響を与える法案をたったの1時間の審議とすることは乱暴そのもので立法府の一員として強く抗議する」と述べました。

 自民党の橘議員は、「政府は今年の人事院勧告を実施せず、平成26年4月からの実施としたが極めて遺憾であり、法律に基づく行政の実施を求める」と迫り、樽床総務大臣は「給与を平均7.8%削減する臨時特例法が実施されているため、給与の減額措置が終わった段階の平成26年4月から実施する方向で来年中に結論を出したい」と答えました。

 共産党の塩川議員は、「政府自身も慎重審議をと言っていたのに、このような短時間では慎重審議のしようもない。国家公務員労働者の働きがいや若者の将来展望を奪う退職手当の大幅削減を、こんな乱暴な委員会運営で強行することに強く抗議する。退職手当の額は官民較差で行うとはどこにも書かれていない上に、労働基本権が制約されているもとでの不利益変更について国会での様々な角度からの十分な議論が求められているにもかかわらず、国家公務員総人件費2割削減方針のもとでの退職手当400万円削減ありきは認められない。また早期退職募集も総人件費削減のツール、人減らしの道具として使われることになる。国立ハンセン病療養所は国家公務員総人件費削減によって職員の大幅削減が続き、入所者の命が脅かされている。消費税増税の地ならしともなっている、総人件費削減、退職手当削減を撤回すべきだ」と迫りました。

 これに対して、樽床総務大臣は「退職手当削減分は結果として総人件費2割削減に含まれることになるが、第一義的には官民較差の解消にあるものだ。早期退職募集は組織の年齢構成の最適バランスをはかるものであり、リストラはまったく念頭にない」などと述べました。

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