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2012年12月27日

非正規争議の解決、相次ぐ
キャノンと「すき家」  

大企業相手に責任追及 

 大企業の違法行為を告発していた2つの争議が12月下旬、相次いで解決した。

▼2人が関連会社で正規化/キヤノン「解雇」争議

 大手精密機器メーカー・キヤノンの偽装請負を告発し、同社に対し正社員化を求めていた争議が12月20日夜、東京都労働委員会で解決した。正規化を望んでいた組合員5人のうち、転居が可能な2人が関連会社の正社員として雇用される。和解で会社側は組合に解決金を支払い、偽装請負について再発防止を約束した。

 5人は2000年以降、キヤノン宇都宮事業所に請負会社の社員として働き始めた。しかし、同じラインにキヤノンの社員と混じりながら、キヤノンから指揮命令を受ける偽装請負だった。06年10月に栃木労働局に告発。国会で証言も行い、注目を集めた。07年10月に期間社員として雇用されたが最長2年11カ月の上限付き。09年6月に正規化を求めて東京地裁に提訴したものの、同8月末に雇い止めされた。

 キヤノン非正規労働者組合・委員長の阿久津真一さん(45)は「もっと早く解決していれば、職場の仲間が悔しい思いで去ることはなかった」と語る。リーマンショック後の休業措置(賃金の50%カット)で、組合員は次々と離脱。「非正規の争議では企業が違法行為をしても、裁判では何の責任も問われない。一部でも正社員としてキヤノングループに戻れたのは大きい」と強調する。5人全員の正規化は断念したが、「非正規労働者であっても、企業は責任を取らなければならない」と話した。 
▼会社が団交拒否を謝罪/牛丼すき家争議

 牛丼チェーン大手・すき家の争議が12月21日、東京地裁で解決した。団体交渉を拒否していた運営会社のゼンショーが首都圏青年ユニオンに謝罪し、未払い賃金請求訴訟原告でアルバイト店員の福岡淳子さん(45)とユニオンに解決金を支払うという内容。今後、会社は団交にも誠実に応じると約束した。会社側が和解の中で謝罪をするのは異例だ。

 労組と同社の関わりは06年6月、都内のアルバイト従業員の解雇事件が発端だ。当初は団交が行われ、解雇撤回などで労使協定も結んだ。その後、仙台市内の店舗で働く福岡さんが労組に加入した後、会社側は団交を拒絶。まかない飯を食べた福岡さんを窃盗容疑で刑事告発(不起訴処分)した。さらに争議の中では、「アルバイトは業務委託だ」などと主張。労働委員会・裁判で4度断罪されても、頑なに組合敵視を続けた。

 約6年に及ぶ争議。ユニオンは、同社を違法で過酷な労働がまかり通る「ブラック企業」として世間に告発し、社前デモも繰り返し行った。武田敦委員長は「これまですき家の従業員から相談が寄せられても団交が拒否されていたため対応できなかった」と明かす。同社では店舗の防犯対策や福岡さんの昇給など課題が残されたままだ。「労働者の声がようやくまともに取り上げられる。働く人・お客さんにとっても、良い職場にしたい」と期待を込めた。

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