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2012年11月 6日

解雇の不当性、より明白に
人事院審理が大詰め  

旧社保庁525人の分限免職問題 

 旧社会保険庁(日本年金機構)の元職員39人が解雇(分限免職処分)撤回を求めて訴えた人事院審理が大詰めを迎えている。ここにきて懲戒処分歴を理由に機構への採用を拒否された元職員の処分が取り消されたり、解雇の原因となった体調不良が公務災害と認定されたりする事例が続いている。闘争団は「不当な解雇が明らかになった一端だ」として、遅くとも年度内に判定を出させるよう攻勢を強める構えだ。

▼39人が解雇撤回を要求

 旧社保庁は2009年末に廃止され、機構などに雇用を引き継がれなかった職員525人が解雇された。うち全厚生労働組合に加入する39人が処分の撤回を求めており、人事院の審理とあわせて、北海道や京都など4カ所で行政訴訟も行っている。

▼懲戒取り消しも採用拒否

 「懲戒処分が間違いだったなら、直ちに解雇を取り消して採用をやり直すべきだ」。こう語るのは、闘争団事務局長の北久保和夫さん。組合役員時に「無許可専従」を呼びかけたとして減給処分を受けたが、人事院は昨年9月に「事実を認める十分な証拠はない」と処分を取り消した。しかし、解雇は撤回されていない。

 08年当時、旧社保庁職員が機構の採用に応募するには希望者名簿に登録される必要があったが、懲戒処分歴がある職員は「自分も含めて名簿から外されていた」(北久保さん)。その処分が取り消されたたにもかかわらず、厚生労働省は採用のやり直しを拒否したのだ。

 北久保さんは「今からでも機構へ雇用させるべきだ」と訴えている。

▼公務災害で不採用者も

 香川社会保険事務所で年金相談を担当していた綾信貴さんは、年金記録問題による深夜までの残業やクレーム対応などで抑うつ状態になり、08年10月から09年2月まで病気休職した。休職中に厚労省への転任面接を受けたが、「任用には多少の疑問がある」とされ、配転が認められず解雇に。今年10月にようやく病気が公務災害と認定された。

 闘争団を支援する加藤健次弁護士は「仕事が原因で病気になり、それを理由に解雇するのは、民間では認められない。普通の解雇事件では認められないことが起きている」と批判する。

 愛媛県の男性組合員のケースでは、懲戒処分歴もなく希望者リストに載ったにもかかわらず、不採用とされた。理由の説明はなかったという。解雇後、有期雇用の准職員として採用され、今年7月には正規職員として登用された。当初から正規採用されていれば受けられた勤務条件との差額を求めて闘争を継続している。

 加藤弁護士は「いかに分限処分の枠組みが誤りかが明らかになっている。機構に欠員があったのに(当時与党だった)自民党が年金問題の責任を現場に押し付けるため、(政治的判断で)分限免職が行われた。闘争団39人全員が救済されるべきだ」と指摘する。

 闘争団や国公労連などが11月2日に都内で開いた決起集会で、国公労連の宮垣忠委員長は「人事院は政府の暴挙を正すのが役割だ。公正な判定を強く求める」とアピールした。

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