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2012年12月 4日

労働条件改善のてこに
改正労働契約法・活用編(6)  

不合理な格差の禁止規定

 有期契約であることを理由とする不合理な待遇格差を禁じるルールが改正法に設けられました。「有期契約で働く人にとって、労働条件改善の大きな武器になる」と、積極的な活用が期待されます。

▼安全衛生にも効果あり

 不合理な格差の禁止は、災害補償や教育訓練を含むすべての労働条件が対象になります。格差が合理的かどうかは、(1)職務内容(2)配置変更の範囲(転勤の有無など人材活用の仕組み)など――を考慮しつつ、個別の労働条件ごとに判断するという仕組み。ただ、通勤手当や食堂利用、安全管理など、働き方の違いにかかわらず必要なものについては、特段の理由がない限り、格差は認められないというのが、政府答弁でも示されています。ほかにも、ロッカー利用や慶弔休暇の取得などに活用できそうです。

 裁判所が「合理的ではない」と判断すれば格差が無効となり、働く者が損害賠償を請求できるのです。立証責任は双方にあるといいます。まず働く者が不合理な格差であるとの主張と立証を展開し、使用者が逆に合理性の立証を行うという流れになります。

 日本労働弁護団幹事長の水口洋介弁護士は、「有期契約で働く労働者にとって、(待遇改善の)大きな武器になる。労組は積極的な活用を」と熱い視線を注ぎます。

 放射能漏れが深刻な東京電力福島第一原子力発電所の復旧作業では、正社員に2万数千円の危険管理手当が出ているのに、非正規社員にはまったく支払われていないケースが報告されています。「高濃度の放射線の中で作業するのに、正規と非正規で危険手当に格差を設けるのはどう考えても不合理。改正法を活用できる」(水口弁護士)。 

 一方、使用者側の弁護士でつくる経営法曹会議の木下潮音弁護士は「(効果の薄い)訓示規定に過ぎない」と主張します。条文が「不合理なものであってはならない」という回りくどい書きぶりになっているためです。しかし、法案審議で政府は「効力のある規定だ」と明確に答えています。

▼60歳以降雇用にも関連

 待遇改善を図るうえで欠かせないのが、有期契約で働く人々の組合加入です。当事者の参加で、より迫力ある交渉と、納得感の高い制度の整備が可能になります。

 来年4月には、65歳までの希望者全員の雇用確保を定めた改正高年齢者雇用安定法がスタートします。60歳以降で継続雇用される人の多くが有期契約。改正法の適用対象です。定年前と変わらない仕事をしているとすれば、現役社員と比べて賃金が著しく低いことの是非が問われることになるでしょう。

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