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2012年12月 3日

雇い止めは自由ではない
改正労働契約法・活用編(5)  

判例法理の条文化

 期間満了の雇い止めでも一定の条件の下では、正社員の解雇と同じぐらい厳しい条件を設けた過去の最高裁判例が、改正法で条文化されました。契約を繰り返し更新したり、雇用継続を期待させるような業務内容や言動、職場慣行が認められるケースでは、雇い止めを無効にできる可能性があります。

▼雇い止め防止になるか

 新たなルールでは、契約を何回更新すれば無期契約とみなされるという明確な基準はありません。雇い止めについては、(1)繰り返し契約更新していた(2)臨時的ではない業務に従事していた(3)ほぼ自動的に契約が更新されていた(4)ほとんどの人が継続雇用されていた(5)継続雇用を期待させる言動があった――などの事実を総合的に検討し判断するという仕組みです。

 「無期転換」手前の雇い止めに対する抑止効果が期待されます。例えば、通算勤務期間3年で雇い止めにされたとしても、それまでに短い契約期間を多数反復更新していれば、このルールに触れる恐れが強いからです。

 ただ、労働契約法は労使の契約ルールを定めたもので、労働基準監督署が何とかしてくれるものではありません。使用者が争う姿勢を示した場合、裁判で決着をつけることになります。

▼集団的労使関係で解決を

 改正法では、労働者が雇い止めに対し「直ちに」異議を申し出ることが必要とされています。

 しかし、雇い止めされてすぐに撤回を求めたり、抗議できる人はそう多くはありません。

 申し出が遅れたことを理由に使用者が雇い止めの有効性を主張するケースが考えられますが、あきらめは禁物。国会審議で政府は、雇い止め直後でなくても、当事者が弁護士などに相談し、契約を申し出るケースを想定していると説明しています。方法も口頭で可。「嫌だ」「困る」などの意思表示でもOKとされています。

 裁判で雇い止めが無効と判断されれば、その日までの差額賃金支払いや損害賠償も請求できますが、非正規で働く人にとって、裁判を起こすのは荷が重すぎるのも事実。労組が団体交渉などで判例ルールを示し、雇い止めが許されないと使用者を説得することが求められます。併せて、改正法を踏まえた職場ルールをつくることが、トラブルを未然に防ぐうえでは重要でしょう。(次回は不合理な格差の禁止)

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