京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2012年11月27日

水準の改善は労組の役割
改正労働契約法・活用編(4)  

無期転換後の労働条件

  無期契約に転換した後の労働条件について、改正法は転換前と「同一の労働条件」とするよう定めています。これは、転換後の賃金や労働条件を著しく低くすることで、働く者に権利行使をためらわせようとする規制逃れを防ぐための仕組みです。ただ、就業規則や労働協約など「別段の定め」を設けて、現行水準を改善することは可能。職場の労組の出番です。

 一方、「別段の定め」を悪用した賃下げは改正法の趣旨に反し論外ですが、遠隔地配転や過重な職務を追加するなどの「くせ球」は十分に考えられます。無期契約に転換した人にどのような働き方をしてもらうかを含め、当事者、労使の議論が求められます。

▼労使、当事者の協議を 

 正社員と同じように働きながら、賃金などに大きな格差がある場合、職場の労組は積極的にその水準の改善に努めたいものです。正社員登用制度の整備・充実や、職責に応じた労働条件の向上などが考えられます。「別段の定め」はそのように活用するためのものです。

 一方、無期契約転換後の職務や職責を重くし、当事者に「そんな働き方はしたくない、できない」と転換を尻込みさせるような脱法も想定されます。もちろん改正法の趣旨に反します。

 例えば、勤務地限定で働く契約社員に対し遠隔地配転を求めるケースについては、厚生労働省は経営側の人事権を一定制限する見解を示しています。しかし、それ以外の転換後の待遇については、労使、当事者の話し合いにゆだねているのが現状です。

 ここで改めて押さえておきたいのは、法律の仕組みとして無期契約への転換は、期間の定めをなくすだけで、労働条件などは何も変更しない、というのもアリだということ。職務や職責のあり方を含めた検討が必要になるでしょう。

 改正法の目的は、雇用の安定化。今の職務、職責のまま無期契約になりたいという人から、正社員希望者まで、多様な人々が働き続けられる制度とするよう、当事者を含む労使の十分な話し合いが必要です。

▼定めがなければ正社員  

 就業規則の整備も必要です。

 通常、パートや有期契約の人の処遇については、就業規則上に「(正社員とは)別に定める」との条項を盛り込み、別枠で詳しい労働条件を記載するのが一般的。無期契約に転換した人はパートでも契約社員でもありませんから、何らかの定めを設けていなければ、賃金・労働条件は、正社員の規定が適用されることになります。使用者から就業規則変更の申し出があれば、しっかり対応したいものです。(次回は判例法理の条文化)

府職労ニュースインデックスへ