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2012年11月22日

使用者の無期転換逃れ監視を
改正労働契約法・活用編(3)  

雇用の上限設定問題

 改正法は、無期契約に転換する際、労働者本人による「申し出」を必要としています。そのため、働く者に事前に「無期契約への転換を希望しない」などの意思表明をさせる行為は「公序良俗に反し、無効」と政府答弁で明確に否定されています。しかし、一方で「契約更新は4年まで」など将来の雇い止めに同意する条項(不更新条項)にサインを迫る行為には、直接的な規制がありません。どのように考えればいいでしょうか。

▼法の趣旨は雇用の安定

 ある大手喫茶店チェーンはこのほど、改正労働契約法の成立に合わせたかのように、4年の雇用上限を設けました。契約更新の際、将来の雇い止めに同意を迫るやり方です。

 労働者がサインすれば、「不更新条項」に合意したことになり、サインしなければその時点で雇い止め。悩ましい選択ですが、あきらめは禁物です。日本労働弁護団幹事長の水口洋介弁護士は、契約更新の際に、将来の雇い止めを定める条項を追加し、サインを迫ることは「雇用の安定を図る改正法の趣旨に反する」と指摘します。

 政府も「使用者が更新年数の上限などを一方的に宣言したことによって雇用継続への合理的な期待が失われることにはならない」と国会審議で答弁していました。

 法改正に先立ち、不更新条項による雇い止めを無効とした司法判断(東京地裁、明石書店事件)も出されています。「不更新条項を設けさえすれば何でもできる」という経営者に対しては、その誤った認識を正すのも労組の役割でしょう。
 雇用上限の規定を設ける就業規則改定は、現に働いている労働者にとって労働条件の不利益変更にあたります。使用者は変更の必要性の立証や、労組との誠実交渉義務――などが求められます。安易な雇い止めを許す制度としないよう「職場の労組に頑張ってほしい」と水口弁護士はエールを送ります。

▼「改正法の限界」

 一方、初回の契約に「更新は4年まで」などの条項が盛り込まれる場合は難問。同弁護士は「(有期契約を例外のみ認める)入口規制がない下では即解決しづらい」「改正労働契約法の限界が最も出ている点」と語ります。

 一般的に、常にある業務で必ずクビになる期限を最初に設けておきながら「意欲的に働け」というのは無理な話。労働生産性の観点からも問題があります。こうした契約を結ばせないよう、労組が積極的に主張することが求められます。

 あらかじめ雇用の上限を契約に盛り込んでいても、労働者の勤労意欲を高めようと、所属長などが将来の正社員登用をほのめかすことも十分考えられます。この場合は、雇用継続への「合理的な期待」があるとみなされる可能性があります。当事者の話を聞き、しっかりチェックしましょう。(次回は無期契約転換後の労働条件)

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