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2012年12月11日

国家公務員の政治活動認める
最高裁が2事件で判断

「管理職的職員」は有罪に

 休日に政党機関紙を配布した国家公務員が逮捕された2つの事件で、政治活動を禁止した国家公務員法などが「表現の自由」を保障した憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁第2小法廷は12月7日、判決を出した。千葉勝美裁判長は、旧社会保険庁職員の事件について「職務の政治的中立性を実質的に損なう恐れがない」と認め、東京高裁の無罪判決を維持し、検察側の上告を棄却した。一方、厚生労働省の元課長補佐の事件は、「管理職的」地位を理由に中立性を失う恐れがあったとし、元課長補佐の上告を棄却。有罪(罰金10万円)とした同高裁判決が確定した。

 訴えられていたのは旧社保庁職員の堀越明男さん(59)、厚労省元課長補佐の宇治橋眞一さん(64)。

 堀越さんは2003年11月の総選挙の際、休日に自宅近くの東京・中央区内で日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」号外を配った行為が政治活動に当たるとして04年3月に逮捕。一審有罪、二審は無罪だった。

 宇治橋さんは課長補佐だった05年9月の総選挙で、休日に世田谷区内で警察官舎と知らずに共産党のビラを配布し、住居侵入罪で逮捕された。国公法違反で一、二審ともに有罪判決を受けていた。

▼高裁で判断分かれる

 国家公務員は、行政の中立的運営と国民の信頼確保を目的に法律と人事院規則によって政治活動を制限されている。違反すれば刑事罰の対象だ。政治活動の禁止をめぐっては、郵便局員が社会党の選挙ポスターを公営掲示板に張り出し逮捕された「猿払事件」で、最高裁が1974年に「国民全体の共同利益を擁護するための措置」として、合憲判断を下していた。今回、同様の2つの事件で高裁判断が分かれたため、最高裁の判断に注目が集まっていた。

▼罰則適用を限定

 判決は、国家公務員の政治活動を禁止した罰則規定について「国民全体の利益保護のため、合理的であり正当」と指摘。一方、政治活動の自由は「民主主義を基礎付ける重要な権利」とし、禁止対象は「職務の政治的中立性を損なう恐れが実質的に認められる行為」に限定されるとした。

 そのうえで、堀越さんについて「管理職的地位になく、職務と全く無関係で団体活動の性格もなく、公務員と認識し得る態様で行われたものではない」と認め、無罪判決を支持。一方、宇治橋さんは部下を指揮するなど管理職的地位だったことを挙げ、「職務権限の行使で政治的傾向が現れるおそれが高まり、指揮命令を通じて影響を及ぼすことになりかねない」とし、有罪判決を変更しなかった(反対意見あり)。

▼堀越氏「どちらも無罪だ」

 堀越さんは「同じような事件で差をつけることは納得できない。どちらも無罪だ」。宇治橋さんは「上司が『管理職ではない』と証言したのに、『管理職的』とこじつけるのはおかしい。防衛省沖縄防衛局長による投票呼び掛けは許されるのか」と抗議した。

 加藤健次弁護士は「少なくとも管理職的地位でなければ政治活動をしても罰則の対象にはならないことを示した」と述べ、実質的に猿払判決の変更に当たると評価。国公法の禁止規定を地方公務員にも広げる政治の動きが強まっていることに対しては、「時代に逆行するもの」と批判した。

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