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2012年 6月28日

超低額目安からの脱却が焦点
最低賃金目安審議スタート 

問われる公益委員の見識 

 2012年度の地域別最低賃金改定審議がスタートした。厚生労働省の中央最低賃金審議会(中賃 委員長・今野浩一郎学習院大学教授)は6月26日、各地の改定作業のたたき台となる「目安」について公労使による審議を開始。東日本大震災の影響で足踏みした昨年の超低額目安から抜け出せるかが焦点となる。「早期の最低800円」の達成などの政労使合意をいかに前に進めるか。特に公益委員の見識が問われる。

 昨年の目安審議では「東日本大震災による地域への影響を踏まえ、総合的に勘案」した結果、公益側は上位のAランクで4円、それ以外のランクで1円の低額目安を提示。5年ぶりのひとケタ目安となった。

 しかし、その後の47都道府県の改定審議では、36都道府県が中賃の目安額を上回った。特に目安が1円だった九州各県は改定額が3~5円に。最賃額の全国加重平均は737円(前年比7円増)となっている。

 最低額は岩手や沖縄など645円で、最高額は東京の837円。その差は、年間52週働くとして単純に年収換算すれば40万円近い格差となる。
 一方、生活保護とのかい離解消の課題は北海道、宮城、神奈川の3道県で今年の改定に持ち越しているが、今年も新たに、「かい離」する地域が生じると見られている。

〈解説〉最賃引き上げが多数の声

 昨年度の各都道府県段階の最低賃金審議では、目安額を超える改定を行った地方が約8割にも上った。目安審議をリードする公益委員と厚労省は、この事実を重く受け止めるべきだ。

 もともと日本の最低賃金の水準は先進国の中でも著しく低い。さらに近年、非正規雇用の増加で、最賃規制の影響を受ける人が増えてきた。

 地域の経済と暮らしを守るには、内需の拡大とそのための賃金の底上げが必要との認識が、労使の枠を超えて広がりつつある。多くの地域で中賃の目安額を上回った昨年度の改定はそのことを反映したものだ。

 「復興特需」に沸く被災地では、元請け企業から、復興事業の現場で働く労働者までの間に何重もの会社が入り、現場の賃金は最賃並みの水準だとの指摘もある。農漁業を再開できず勤めに出る人など、最賃の対象者も広がった。震災直後の昨年とは状況が大きく異なる。

 26日に開かれた中央最低賃金審議会で、金子順一労働基準局長は「昨年は東日本大震災があり、難しい審議を行っていただいた。諸般の事情を総合的に勘案し、審議をお願いしたい」と述べた。

 この言葉から同省の明確な姿勢は見えてこないが、被災地の復興や内需拡大を考えるならば、2年連続の超低額目安は許されない。

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