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2012年11月 1日

大阪市以外にも広がり始めた
公務員の政治活動制限  

「維新の会」が全国波及を追求 

 公務員の「政治活動・表現の自由」に対する攻撃がエスカレートしている。8月に大阪市で市職員の政治活動を大幅に制限する条例が施行されると、周辺自治体にも飛び火した。国会では、新たに罰則を盛り込んだ地方公務員法「改正案」が審議中だ。こうした動きに労働組合などは「時代に逆行する」として、規制のあり方を見直すべきだと訴えている。

▼懲戒恐れ、署名できず

 「市長による脅しが大阪の公務員に刷り込まれている」。こう話すのは、大阪自治労連の大原真委員長。政治目的のデモの企画や集会での政治的発言に対し懲戒処分を定めた大阪市の「政治活動規制条例」が、組合活動に暗い影を落としているという。

 組合活動の一環で、ある府職員に私立学校への助成を求める署名を呼びかけたところ、「公務員だから署名できない」と断れた。府職員は条例の対象外にもかかわらずだ。施行前の6月から橋下徹市長は「(違反者は)ばんばん公務員の地位から排除する」と公言。ごみ収集事業の民営化に懸念を示すビラを配布した自治労系労組の活動を「信用失墜行為だ。懲戒の対象になる」と7月議会で答弁したことで、「萎縮効果は絶大」(大原委員長)だった。

 「条例で署名は禁止されていない。どう因縁をつけられるか分からない不安が職員の中にある」

▼条例の動き、全国に拡大

 規制条例は大阪市だけの問題にとどまらない。「維新の会」府議団は10月、府議会に同様の条例案を提出した。議会では維新の会が過半数を占めるため、条例案の成立はほぼ確実。府下では泉佐野市や茨木市でも同様の動きがある。「維新の会」は京都や愛媛、東京などの政治団体に同じ内容の条例提出を求めている。全国で制定の動きが活発化しているのだ。

 国会では自民党やみんなの党などが8月、地方公務員の政治活動に罰則を設ける地公法「改正案」を提出。政治的中立性の確保を口実に既に罰則がある国家公務員と同等に厳しくするよう求めた。今国会で継続審議が続くが、政治情勢によっては成立するおそれもある。

▼国公法の見直し求める

 一連の動きに労組や法律家は懸念を強めている。「国家公務員法弾圧2事件」の加藤健次弁護士は「歴史の逆行だ」と批判する。

 弾圧2事件とは、2003年に旧社会保険事務所職員の堀越明男さん(58)が休日に都内で政党機関紙「しんぶん赤旗」号外を配った行為が政治的行為に当たるとして逮捕された事件(最高裁係争中)、05年に厚生労働省職員(当時)の宇治橋眞一さん(64)が休日に都内の警察官舎に日本共産党のビラを配布し、国公法違反で起訴された事件(同係争中)だ。職務とは無関係なビラまきでの逮捕を、少なくない法律家や学者は疑問視している。

 国公法は戦後、「反共」政策を進めたGHQ(連合軍総司令部)が労働運動の活発な公務員労組を危険視し、政治活動を禁止させた経緯がある。「罰則のない地公法はまがりなりにも国会で議論したもの。押し付けられた国公法に合わせるのはおかしい」と加藤弁護士は憤る。

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