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「夏の陣」が終わっただけ… |
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社員らの反撃始まる |
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NECでの早期退職の募集は一応、7月末で終わったことになっている。しかし、「ヤマ」を乗り切った社員からは「『夏の陣』が終わっただけ」との声も。一方、社員の苦悩に寄り添わない既存の社内労組に見切りをつけた社員らの反撃も始まった。 ▼子会社の苛烈なリストラ 企業や自治体の情報システムを構築するITサービスソリューションなどを主な事業とする、NEC完全子会社では4月、「プロジェクト支援センター」という名の部署が全国5カ所の事業所に新設された。おもに40歳以上の51人が配属され、7月末までに約半数が退職に応じた。 今もその職場に踏みとどまる技術職の男性は、「品質管理などが業務とされているが、実際の仕事内容はデータ入力や議事録作成という『雑務専従』。昔の国鉄の『人材活用センター』のようなもので、仕事に嫌気がさして退職にし向けようとしている」と話す。 「人材活用センター」とは、JR発足時、前身の国鉄が、就労継続を望む国労組合員らを余剰人員として送り込み、草むしりなどの雑務を行わせ、退職に追い込んだリストラ手法だ。 このNEC子会社は従業員が約4000人。社内労組の発表によると、7月末までに85人が早期退職に応じた。管理職も含めれば、当初の「削減目標」を超えたとみられる。 だが、男性は「『夏の陣』が終わっただけ。人事部はまだまだ削減しようとしている」と話す。 遠隔地や未経験部署への配転、「雑務」を理由にした賃下げなど、首切り攻勢は波状攻撃の様相を呈してきた。 NECがグループ全体で進めている「構造改革」の柱は、ソリューション事業の強化。それなのに、なぜ今もしゃにむに人員削減を進めるのか。同社はその中核となる事業を担い、業績も悪くない。人員不足で悲鳴が上がる現場もあるという。 男性は「人員を削れるだけ削り、NEC本体で削減した社員を送り込んでくるのではないか」と子会社の悲哀を語る。 ▼グループ全体でも リストラはグループ全体でもとどまる気配がない。グループ外企業への「出向」も、早期退職を迫る「脅し」の材料とされた。既に内辞は交付済みで、10月1日以降その実情が判明する。 また、「厳しい業績管理を行う自己完結型の営業部署」の新設も、「面談」の際に浮上した。ほぼ実現不可能な目標を設定させ、未達を理由に「解雇」する――。IBMで既に導入されている「PIP(業績改善プログラム)」というリストラ手法が懸念される。 電機・情報ユニオンの森英一書記長のもとには、出向や配転の辞令が届いたとの労働相談が、9月半ばを過ぎた今もひっきりなしに寄せられているという。 ▼反撃を開始 今春闘の集中回答後にリストラ計画が公表され、半年以上が過ぎた。この間に違法な退職強要が繰り返された。40歳以上の、独身者や、おとなしい雰囲気の人が狙い撃ちにされる傾向があると、ユニオン関係者は口をそろえる。 7度の「面談」を強要された社員は、「電機・情報通信業界が軒並み不振ななか、再就職は厳しい。退職金の割り増しがあるとはいっても安心できるものではない」と話す。 社員を追い込む職場の荒廃も深刻だ。「20、30歳代の同僚は(自分の問題ではないので)わかってもらえないだろうし、同年代以上は皆、戦々恐々。この問題にはお互いに触れない」と孤立感を訴える。 「退職強要」は、精神疾患についての労災認定基準で、「心理的負荷」が最も強いレベルと位置づけられている。人をうつや自死に追い込む強い衝撃を与える行為だと、厚生労働省も認めているものだ。 一方、社内労組の動きは鈍い。退職強要を受けた人たちは一様に、「助けを求めたが、動いてくれない。それどころか、『(退職を迫る)面談は法的に問題がない』と会社と同じことを言う」と突き放す。 前述のNEC子会社の男性は職場の同僚らとユニオンに加入した。8月末から少数組合ながら会社と団体交渉を開始。職場の思いを背に、生活と誇りをかけた反撃が始まった。(連載おわり) |
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