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2012年 2月27日

「子どもの不安和らげる支援を」
福島の高校教員

原発事故後の生徒の実情語る

 「政府は子どもたちに放射能への不安を和らげる支援をしてほしい」──。福島県二本松市内の高校教員、県高教組書記長は、福島第一原発事故後の生徒たちの実情を語り、こう支援を訴えた。全教が2月22日に開いた院内集会での発言だ。

▼「将来のこと不安」

 現在、高校入試シーズンを迎えているが、「県内では志願者が減少している」。来年度入学の県立高校入試(2次)の倍率(全日制)は、前年度比0・7ポイント減の1・04倍。とりわけ原発の近くにある浪江高は定員40人に対し応募はわずか4人。「事故が後遺症となっている。復興が見えず転校するしかない生徒が大勢いる」。

 県内に残る生徒の心の傷・不安は大きい。ある生徒は作文に「事故直後は外出を控えたが、今は普通に部活をしている。どうせ被ばくしているからあまり気にしない。ただ将来のことが不安でたまらない」。別の生徒は「事故で仕事が減って家族がピリピリしている」と打ち明けた。事故の影響で牛乳の出荷停止を命じられた酪農家の女子生徒は「出荷が再開するまで搾った牛乳をすべて捨てた。とても悔しい」と涙ぐんだという。

▼原発にも怒りを向けて

 一方、国や自治体の放射能汚染の対策は「進んでいない」とため息をつく。校庭の除染作業は行われても、通学路や自宅周辺など地域全体の除染は遅れたままだ。生徒に線量計を配布するよう県教育委員会に要請したが、「高い線量が出たら生徒のプレッシャーになる」と断られた。内部被ばくについても、地元では自宅で農業を営む家庭が多いため、「実際に作物が放射能に汚染されていても、食べないという選択肢はない」のが実情だと語る。

 杉内さんは「生徒たちは不安を抱えたままになっている。不安を和らげる支援が必要だ」と指摘。「誰でも簡単に放射能を測れるよう線量計を調達し、定期的に診察を受けられるシステムを整備してほしい」と強く要望した。被災地のガレキ処理をめぐり、各地の一部住民から受け入れ反対の声が出ていることには、こう呼びかけた。

 「放射能に汚染された廃棄物を嫌がるのは私も同じ。でも、それと同じ怒りを原発の中にある廃棄物にも向けてほしい。自分の傍らに置けないものは、どこにも置く必要はないはずだ」

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