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減給と停職は違法 |
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東京都の手法は曲がり角に |
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東京都の公立学校の式典で君が代斉唱時に起立や伴奏を拒否した教職員計171人が懲戒処分の取り消しを求めた3件の裁判で、最高裁は1月16日、減給や停職は違法だとして、一部を除き取り消した。国旗国歌への忠誠を強いることで教職員への統制を強める都の手法は曲がり角を迎える。 ▼見直し迫られる都教委 「最後には退職や懲戒免職に追い込まれると脅し、思想や信仰の転向を強要するシステムに歯止めがかけられた」 「東京・教育の自由裁判をすすめる会」の澤藤統一郎弁護士はこの日の最高裁判決をこう評価した。 東京都教育委員会は2003年10月、公立学校の式典での教職員の服務に関する規定を通達。国旗掲揚時の起立と君が代斉唱を義務付けた。これ以降、11年5月までにのべ437人が戒告や減給、停職などの懲戒処分を受けている。 不起立が1回目で戒告とされ、2回目以降は自動的に減給1カ月、同6カ月、停職と処分が重くなる仕組み。このような機械的で画一的な処分に対し、判決は「懲戒権の範囲を超え違法」と指摘し、一部を除き、「減給」以上の懲戒処分を取り消した。 都に加え、大阪府では不起立などの服務違反が3回累積すると、懲戒免職となる条例が提案されている。こうした人事運用は見直しを迫られることになる。 ▼妨害行為の有無で分かれる 一方、都教委の通達が出される以前に国旗を引き下ろしたり、校長の君が代斉唱指導を批判するプリントを配るなどし、停職や減給など計5回の懲戒処分と2回の訓告を受けた教員については、処分を「適法」とした。 明暗を分けたのは、「学校の規律や秩序の保持」とのかかわりだ。 不起立などについて、それぞれの判決は「個人の歴史観ないし世界観に起因するもの」と理解を示しながらも、生徒への配慮や秩序の確保、行事の円滑な進行への影響を考慮すべきと指摘。「積極的に式典の進行を妨害する行為」の有無を判断した。 ▼「まだ終わっていない」 教職員に思想信条に反する「踏み絵」を踏ませる職務命令は依然残る。 二審が取り消していた戒告処分について、「直接の職務上ないし給与上の不利益を及ぼすものではない」として、「適法」と判断を覆した。戒告は昇給の3カ月延伸や勤勉手当の減額などの不利益があり、一度受けると定年後の再雇用も見込めない。 この点については、最高裁でも意見が割れた。反対意見を示した宮川光治裁判官は、都教委通達に基づく職務命令が思想・良心の自由を保障した憲法第19条に違反する可能性があると指摘。そのうえで、原告の行動は日の丸・君が代を戦前の軍国主義の象徴とみる教育上の信念から行われたもので、「その動機は真摯であり、非行・非違行為とは異にする」とし、戒告は重過ぎで裁量権の乱用であると明快に断じている。 都立高校教員の鈴木毅さんは会見で「まだ終わっていない。3月の卒業式で職務命令が出されるかもしれない」と述べ、原告団共同代表の星野直之さんは「以前はいろいろな問題を教員が自由闊達(かったつ)に話し合っていたが、今は委縮させられている。この異常な事態に歯止めをかけたい」と決意を語った。 同様の集団訴訟は2次、3次が係争中だ。 |
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