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2012年 1月12日

貧困・格差解消の年に
2012年・労働運動の課題

巻き返しへの警戒が必要 

 東日本大震災と原発事故という未曽有の災害を経て、2012年がスタートした。経済界が日本経済の先行き懸念を前面に打ち出し、「労働コスト」の増大に強く反発するなか、貧困の解消や格差の是正をしっかり進める労働運動が求められる。

 新年最初の課題が、デフレからの脱却や労働条件の底上げを掲げる12春闘だ。経団連は「生き残りをかけた正念場の年」と危機感を強調。企業を横断して賃上げを求める春闘のありようを否定し、定期昇給の見直しにも言及するという。震災を理由に総額人件費抑制策を続けることへの反撃が必要だ。

 労働法制の課題も目白押しとなっている。労働者派遣法改正法案がたなざらしのまま、通常国会では有期労働契約への初の規制となる労働契約法改正案や、60歳以降の雇用と年金の接続を義務付ける高年齢者雇用安定法の改正法案が提出される。ねじれ国会の下、働くルールづくりに向けた世論と運動が求められる。

 震災で足踏みした地域別最低賃金の抜本的引き上げも大切な課題だ。復興のためにこそ人間らしく暮らせる賃金が必要。「2020年に全国平均1000円」などを確認した政労使合意をゆるがせにしないことが大切である。

 昨年末、東京都多摩市と神奈川県相模原市で新たに公契約条例が成立した。制定作業中の札幌市をはじめ、横浜市や長野県も検討を始めている。良質な公共サービスと賃金の底上げを図る、こうした流れを奔流に発展させたい。

 一方、TPP(環太平洋経済連携協定)参加や消費税の税率引き上げ、原子力政策の見直しなど、労働界を二分する課題も待ちかまえている。拙速を戒め、組合員が納得できる十分な議論が望まれる。

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