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更生計画の内容を絶対視 |
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「解雇4要件」真面目に検討せず |
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「なんで会社の味方をするんだ」「ひどい」──。東京地裁の白石哲裁判長が元客室乗務員72人の解雇撤回請求「棄却」の判決を読み終えると、法廷内では原告の女性たちが次々と立ち上がって叫んだ。日本航空が会社更生手続き中に行った「整理解雇」の是非が争われた裁判で、判決は3月30日に言い渡された。 原告・支援者のほとんどが勝利を確信して疑わなかった。予想を裏切る不当判決に元客室乗務員原告団の内田妙子団長は「裁判所は企業の利益しか考えていないのか」と憤った。 ▼公正さ欠く判決 29、30日の日航解雇撤回裁判の判決で争点になったのは、会社更生法を適用された会社で人員削減の必要性をどう判断するかだ。判決は「すべての雇用が失われる破たん的清算を回避するため、余剰人員の削減は合理的だ」と結論付けた。 一昨年末にパイロットや客室乗務員165人の「整理解雇」をめぐって、148人が東京地裁に提訴した。原告は、整理解雇4要件(要素)の枠組みを利用して日航が2010年12月末時点でも過去最高の営業利益を上げていたことなどを挙げ、「解雇は必要なかった」と訴えた。これに対し会社側は「更生計画に沿った事業の縮小に伴う人員削減だ」と主張した。 ▼労働者にも痛みを? 両判決は、「4要素」の判断基準を適用するとしつつ、裁判所が認可した更生計画で「事業規模に応じた人員を超える余剰人員を削減する」ことを定めていると指摘。たとえ過去最高の利益を出していても、「事業規模に見合わない人員を抱えることは、(銀行や株主にも犠牲を強いた)更生計画に沿うものではない」と判断した。銀行が債権放棄し、株主は100%減資の痛みを伴ったのだから、労働者も「痛み分け」をすべきという理屈だ。 経営トップの稲盛和夫会長(当時)が会見などで「(165人の)解雇は経営上、必要なかった」と発言したことは「苦渋の決断による主観的心情の吐露に過ぎない」と断定。「経営の神様」の発言を、裁判所が勝手に心情をおもんぱかったのだ。 ▼更生下では「解雇天国」 原告弁護団の安原幸彦弁護士は「過去最高の利益を上げているのに165人を解雇しなければ会社が倒産していたのか。これでは、会社更生法というブラックボックスを使えば、いかなる解雇も可能になる」と警鐘を鳴らす。 原告弁護団によると、会社更生法手続き下での整理解雇が争われた判決は今回初めて。同じ経営再建型の民事再生法手続き下で整理解雇が争われた「山田紡績事件」では、「再生計画案提出時の経営状況が債務超過や破産状態であるか否かは解雇の正当性の判断を不要としたり、その判断に直接影響を及ぼす事情ではない」(名古屋地裁判決)として整理解雇を無効とし、2007年3月に最高裁で決着している。 今回の判決では、「適正な人員規模」と書かれた更生計画が金科玉条の如く持ち出された。経営上どうしても165人の解雇が必要だったのか、4要件が実態に則して判断されたとはとても思えない。 こうした解雇がまかり通れば、会社更生手続きを使った解雇や組合つぶしも認められることになる。労働組合による結束した闘いが求められている。 |
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