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2012年 4月20日

地位確認の訴え、全面棄却
いすゞの非正規切り裁判で東京地裁 

原告「2度目の解雇通告だ」 

 いすゞ自動車が2008年秋の世界同時不況後、期間工・派遣社員約1400人を相次いで雇い止め・派遣切りし、うち元非正規労働者7人が同社への地位確認を求めていた裁判で東京地裁は4月16日、判決を言い渡した。渡邉弘裁判長は「景気悪化に伴う人員削減を理由とした雇い止めは客観的合理性がある」として、原告の訴えを棄却した。7人を含む12人が求めていた損害賠償の支払いについても請求を退けた。原告側は控訴する方針だ。

 原告弁護団などによると、いすゞは08年秋の不況以降、トラックなどの受注が大幅に減少したため、同年11月に期間工553人全員を契約途中で解雇し、派遣社員812人の派遣契約を解除して失業に追い込んだ。翌月、期間工の解雇のみいったん撤回したが、09年4月に雇い止めした。

 判決は、景気悪化による急激な生産減で期間工らが余剰人員となり、その後も景気の先行きが予測困難だったなどとして、「雇い止めは客観的合理性がある」と判断。元派遣社員の直接雇用請求については、「いすゞとの間に労働契約が成立していたと評価する事情がない」と請求を退けた。

 職場復帰を求めていた原告の松本浩利さん(49)は「解雇を通告されたときと同じ気持ち。判決は到底納得できない」。五戸豊弘さん(51)は「非正規労働者の人権を無視され、怒り心頭だ」と語った。いすゞの広報は「現時点でコメントできない」としている。

解説〉解雇の実態を軽視/いすゞ判決

 リーマンショック以降相次いだ非正規切りに対する東京地裁の一連の判断は雇い止めや派遣切りの実態を十分吟味したとは言い難い。いすゞ事件も同様だ。

 いすゞは09年4月上旬までに社内の期間工をゼロにしたが、直後に政府のエコカー減税・補助金で生産が回復。7月には正社員が残業に追われるほどだったという。需要の持ち直しは経営陣も当然予測可能だったはずだが、判決は「景気は予測困難」と擁護した。

 職場復帰を求めた原告は長年、偽装請負や違法派遣で働いてきた。当時は、製造業務派遣の受け入れ制限期間(最長3年)を過ぎれば、会社は労働者に直接雇用を申し入れなければならないという「2009年問題」が控えていた。これを回避するため、不況を利用して解雇したというのが会社側の本音とも言われる。判決はそうした事情を一切考慮していない。

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