京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2012年 7月12日

東京地裁の判決に「異議あり!」
労組が抗議集会 

企業擁護の姿勢変えさせよう 

 東京地裁で労働者に厳しい判決が相次いでいる問題で、労働組合や弁護士から怒りの声が沸き上がっている。非正規労働者の雇い止め、退職強要などの裁判で使用者側の権利ばかりを優遇する司法判断に対し「抗議の声を強めよう」と労組などが動き始めた。

▼企業論理に忠実な判決

 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)が7月8日に開いた集会には、雇い止めや解雇の撤回、パワハラと闘う裁判原告ら100人以上が駆け付けた。

 「非正規労働者を使いやすくしたい企業側の経営理念に、判決は忠実に従っている」。こう憤ったのは、2008年秋のリーマンショック後に起きたホンダやいすゞ自動車の「非正規切り」裁判の弁護団メンバー、鷲見賢一郎弁護士。「労働者への大規模な攻撃が行われている」と危機感を強める。

 両事件で原告たちは、企業の都合に合わせて期間工や派遣で長年働き、世界同時不況の影響で突然雇用契約を打ち切られた。本来ならば一定期間に雇用契約を反復更新した場合、雇用継続の「期待権」が認められるが、判決は「不況だ」「『次回は契約更新しない』と書かれた契約書に労働者がサインしている」という企業の言い分を認めて原告の訴えを退けた。

 「東京地裁は、最初から労働者を勝たせるつもりはなかった。違法派遣の責任を不問に付す『松下プラズマディスプレイ判決』判決のような企業擁護の判例を超える闘いが必要だ」と鷲見弁護士は語る。

▼立法運動の必要性も

 不当判決はこれだけではない。昨年末に出された日本IBMの退職強要事件判決では、「成績下位者」とされた社員に退職強要を行うのは「直ちに違法ではない」と会社を全面擁護。日本航空の「整理解雇」事件判決(3月末)では、過去最高の営業利益を上げる中で行われた165人の解雇について、会社清算になるのを避けるためと正当化した。

 一連の判決にJMIUの生熊茂実委員長は「裁判所は企業に『違法の勧め』をしている」と批判。裁判所への要請を含めて国民の監視を強めながら、多くの働く人を巻き込む「大衆闘争」を呼びかけた。

 名古屋大学大学院の和田肇教授(労働法)は、従来の法律の枠組みでは限界があるとして、「派遣切りや非正規の雇い止めの問題では、立法を求める運動も必要」と強調した。

府職労ニュースインデックスへ