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2012年10月 5日

日雇い派遣を事実上温存
改正派遣法が1日スタート  

新たな規制に早くも抜け穴 

 改正労働者派遣法が10月1日、施行された。法律の目的に「派遣労働者の保護」が新たに加わり、問題の多い30日以下の日雇い派遣を原則禁止したものの、早くもこの規制をすり抜ける動きが出ている。

▼今度は短期バイト?

 9月29日夕方。仕事がないときに日雇い派遣で働いている男性の携帯電話に人材派遣会社からこんなメールが届いた。

 「10月から30日以下の日雇い派遣は、短期アルバイトになります」

 雇用が不安定な日雇い派遣が原則禁止されたことを受け、派遣会社が求人企業に労働者を「日々紹介」する事業に切り替えた。日雇い派遣は規制されたが、直接雇用のバイトは対象外。男性は「法改正で何が変わったのか。とにかく不安だ」と漏らす。

▼労働条件はさらに悪化

 「日々紹介は日雇い派遣以上に不安定だ」。こう警告するのは、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長。その理由をこう説明する。

 日雇い派遣の雇用主は派遣会社で、前日に仕事が案内されて受けた時点で雇用契約が成立する。ところが、短期バイトの場合、派遣会社はあくまで仕事の紹介を行うだけ。翌日、就労先まで出向かないと雇用関係は成立しない。定員オーバーで働けない場合、日雇い派遣であれば、雇用保険の給付金(あぶれ手当)が支給されていたが、バイトだと何の補償も受けられないのだ。

 職場に到着しない限り雇用契約が成立しないため、「通勤中にケガをしても労災が認められない可能性がある」という。
 にもかかわらず厚生労働省は、日々紹介への移行を呼びかけている。関根書記長は「不安定雇用を少なくするべきなのに、より不安定な日々紹介へ誘導することはあってはならない」と行政の姿勢を批判する。

▼安定した直接雇用求める

 悪質な派遣業者の中には、契約だけ31日以上の期間で結んで数日しか働かせない「フリーシフト」を導入する動きも。労働基準法上、労働時間などは事前に明示しなければならないため、違法だ。

 一方で、少なくない業者が「10月以降も従来通りだ」と公言したり、偽装請負に逆戻りするケースが広がるなど、法改正を無視する動きも。関根書記長は「厚労省は取り締まりを強化すべきだ」と求める。

 2008年に日雇い派遣大手・グッドウィルが廃業した際、多くの労働者が派遣先に直接雇用された。同書記長は「日雇い派遣だった労働者たちは賃金が上がり、派遣先企業も(派遣会社のもうけになる)中間マージンの負担がなくなった。中間搾取のない安定雇用を広げるべき」と訴えている。 

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