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2012年 9月 3日

非正規にも基本権保障を
〈ILO総会で決まったこと〉(3)  

新たな行動枠組みを設定 

 ILO総会では、団結権の保障や差別の禁止など、何より守られなければならない労働の基本原則について、各国の履行状況が報告されました。派遣など非正規雇用で働く人への労働基本権保障を重視し、ILOによる調査研究と支援に力を入れるとしています。

▼8条約を重視

 「中核的労働基準」と呼ばれ、批准していなくても順守義務のある4分野8条約(結社の自由・団体交渉権、雇用、職業における差別の排除など)が守られているかどうかを調べるものです。これまでは4分野ごとに履行状況が話し合われてきましたが、今回から手続きを見直し、まとめて検討することになりました。

 ILOは決議で2012~16年までの行動枠組みを設定しました。移民や、インフォーマル(非合法)な経済活動に携わる人々に加えて、非正規労働者の団結権、団体交渉権の保障を重視しています。非正規労働者を含む政労使の利害関係者が参加し、社会問題の解決にあたる「社会的対話」の推進、という考え方に基づくものです。

 具体的には「国内法整備が遅れている非正規雇用の増加で、団結権や団体交渉権を全面的に行使できているかどうか、疑問視される状況が生じている」と指摘。ILOとして、技術協力や調査研究活動を行うこと、各国の研究への支援、非正規労働への規制の成功例の紹介――を行うとしています。

 派遣や有期契約で働く人にも当然、法制度のうえでは団結権やスト権があります。しかし、労使紛争になった場合の保護が弱いのが実際のところ。次の契約不更新を恐れ、賃金や労働条件だけでなく、命や健康に関わる安全衛生の課題でも声を上げにくい状況が生じています。こうした非正規の問題を、労働基本権の観点からアプローチするものです。

▼日本は2条約未批准

 8つの基本条約についてILOは各国による批准を追求しています。特に、団結権、団体交渉権に関する条約の批准率が低いといいます。

 日本も8条約すべてを批准しているわけではありません。差別待遇を禁じた第111号条約、スト参加や政治活動への制裁としての強制労働を禁じた第105号条約は今も未批准です。

 適用状況でいえば、さらに雲行きは怪しくなります。批准はしているものの団体交渉権を保障した第98号条約は、公務員への保障が未だにこう着したまま。男女間の同一価値労働同一報酬に関する第100号条約は、男女間の間接差別の問題など、条約の主旨からみて課題が山積しています。

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