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労使関係をリセットする? |
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実態は過激な公務員・組合叩き |
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大阪市の橋下徹市長が労働組合・市職員との対決姿勢を強めている。市民からの高い支持率を背景にルールや法律を無視した組合・公務員への攻撃が激しさを増すなか、市役所の現場では不安や戸惑いが広がっている。 ▼激しさ増す組合攻撃 「毎日、新聞やテレビでおかしな組合活動をしているかのように報道されている」。大阪市労働組合連合会(市労連・連合系)の書記長は、橋下氏が市長に就任した昨年12月以降、連日続く組合バッシングにため息を漏らす。 組合攻撃の手法は実に多様だ。現在、市庁舎(北区中ノ島)地下1階フロアに事務所がある5組合は3月末までに退去を求められている。昨年11月の市長選をめぐり、組合が対立候補の平松邦夫前市長を支援したことについて、橋下市長が「労働組合は政治団体だ」と問題視したためだ。その際、組合への便宜供与の見直しに必要な労使協議は一切行われていない。 2月中旬には、「労使関係に関するアンケート調査」と称して職員の政治・組合活動を問う「思想調査」を業務命令で行った。直後に府労働委員会は「違法のおそれがある」として調査の凍結を勧告したが、市長は「(調査は)問題ない」との考えを崩していない。 市幹部には職場のメールデータの抜き打ち調査を実施した。メディアでは連日、職員の不祥事に関する報道や組合批判の番組が流され、市民から抗議電話も続く。府・市議会では、市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が中心になって職員に対する罰則強化や教職員の免職規定を盛り込んだ2条例案の成立が狙われており、公務員・組合叩きがエスカレートしている。 ▼職場は萎縮ムード こうした組合・職員攻撃は職場に暗い影を落としている。書記長は「すべての職員が市長の監視下に置かれている」と打ち明ける。市役所では現在、職員の不正追及を口実にメールや目安箱での「密告」が奨励されている。「何気ない雑談の中で出てくる政治の話や噂レベルの事実に基づかないことまで市長に報告され、労組役員は自由に会話もできない」。アンケート調査の問題では、市長のやり方に疑問の声が上がる一方、若手の間に「組合に関わらない方がいい」という空気まで広がっているという。 「上意下達が強まり、職場が萎縮している」と話すのは、大阪市役所労働組合(全労連系)の市労組書記長。橋下市長はアンケート調査などで職場の締め付けを強める一方、日弁連などから「違法だ」と指摘されても、開き直ったままだ。「違法でも『市長命令なら従え』ということで異常。まるで昔の軍隊だ」と漏らす。これまでに市長持論の「大阪都構想」を批判した職員は反省文を書かされた。市の幹部についても「法律より市長の声が大事だとイエスマンになっている」と皮肉る。「職場では市長のことは何も言えない状況だ。条例が成立すれば、ますます市長に従う雰囲気が強くなるだろう」と懸念を募らせる。 ▼組合活動に支障も 組合活動への影響も深刻だ。市は1月、組合の市庁舎退去に先立って、各区役所にある組合支部のロッカーや、印刷機などを置く物置用スペースの使用許可を取り消した。市労連側は2月中旬までに各職場で無用な混乱を避けるために同スペースを一旦明け渡すことを指示。この影響で市労連書記長は「支部に組合の資料を保管する場所がなくなったため、連絡事項を組合員に周知徹底できなくなる」と頭を抱える。 一方、市労組は事務所退去や2条例案の撤回などを求めて、区役所と市庁舎の門前でビラ配布を展開。支部スペースの使用も続けている。「当たり前の組合活動であり、毅然として対応する」と市労組書記長は語る。 市長は「労使関係をリセットする」として、これまで認められてきた組合への便宜供与を廃止、労使交渉も「必要最小限」にとどめる方針だ。すでに市長就任以降、交渉は賃下げに関する事項についてだけ。事務所の退去は「管理運営事項だ」との理由で一蹴している。 実態として、労使関係の適正化を口実にした組合つぶしがまかり通っている。 |
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