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2012年10月15日

「改革」の正体は市民サービス削減
大阪市政の現場〈下〉  

ふくらみ始めた市長への疑問 

 労働組合・職員への攻撃とあわせ、市民サービスの削減を進める橋下大阪市長。最近では国政に影響を及ぼす姿勢も強めている。一方、市民の間では、そうした動きに対し、反対や懸念の声が広がっている。

▼2カ月半で署名38万筆


 「学童保育(留守家庭児童対策事業)への補助金を廃止する」──。大阪市は4月上旬、市民サービスを3年間で約548億円削減する「施策事業の見直し試案」を発表し、働く親の子どもを放課後預かる学童保育事業への補助金廃止を打ち出した。市の財政難を理由に市民にも「痛み」を求めたのだ。

 これに立ち上がったのが、40年の歴史を持つ学童保育の指導員や保護者でつくる「大阪学童保育連絡協議会」だ。「学童保育をなくさないで」と自治会長や父母らが急きょ署名活動を行い、試案発表から2カ月半で約38万筆を集めた。泊唯男事務局長は「毎年の予算要望署名は半年で20万筆前後集まるが、今回は危機感が強かった。全国への影響を食い止めた」と語る。

 その後、学童保育への補助金は継続されることになったが、2年後に再度見直しを迫られる。「楽観視はできない。事業の条例化に向けてこの秋にも区長への陳情を行う」(泊事務局長)と活動を強める構えだ。 

 市立住吉市民病院の統廃合問題では、存続を求める市民が7月、約4万筆の署名を市に提出。市バスの路線縮小でも住民が反対署名を集めた。児童らが学校を自由に選べる市長肝いりの「学校選択制」では、各区が行った大半のアンケートで「反対」の声が多数を占めた。「民意」を語りながら一方的に「痛み」を押し付ける市政「改革」に市民らが声を上げ始めた。

▼「生活は何も変わらへん」

 
 市民の間にも若干変化が生まれている。市庁舎近くの公園で話を聞いた年金暮らしの男性(64)は「市民のことを考えているんやろうが、強引な改革のやり方は感心せん」と苦言。プラスチックの加工工場を営んでいた男性(69)は「やりすぎなところは印象悪いが、人間良し悪しは五分五分やろ」とかばいつつも、「生活が良くなった実感はないし、末端の市民は何も変わらへん。(市長が立ち上げた政党)『日本維新の会』が国政に躍進したとしても期待せえへん」と切り捨てた。

 昨年の市長選で橋下氏に投票したという飲食店従業員の男性(53)は「オブラートに包むより、ずばっと言わんと変われへん。はよう大阪を元気にしてや」。期待を寄せるものの、変化の実感は乏しいようだ。市長個人の人柄に対する好感の声とは裏腹に、具体的な成果を評価する意見は聞けなかった。

▼運動の真価見せよう

 これまで防戦を強いられてきた労働組合も反転攻勢を強めている。連合系の大阪市労連は4月、職員の組合活動・政治活動を問う「思想調査」と事務所退去の問題で提訴し、裁判が進行中だ。どちらも府労働委員会にも救済を申し立てている。全労連系の大阪市労組なども2つの裁判と同時に「市民サービスを守るさまざまな運動を一つにまとめる闘いが必要だ」として、市民団体との対話を行っていく。

 10月3日夜。大阪市労組の裁判闘争勝利に向けた決起集会が市内で開かれ、組合攻撃が続く厳しい状況の中で田所賢治書記長はこう決意を述べた。

 「これは労働組合の原点を見つめ直す機会だ。一人一人は弱く、団結しなければ一連の攻撃には対抗できない。(自治体職員の労組として)市長ではなく市民の声に向き合った運動が必要で、そのチャンスを与えられている」

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