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2012年 3月22日

「大阪だけの問題じゃない」
橋下・大阪市政の今〈下〉

組合叩きが市外にも波及

 橋下徹市長による一連の組合攻撃の手法が周辺自治体にも飛び火し、大阪だけの問題では済まなくなっている。

▼関西では飛び火

 橋下大阪市長が率いる「大阪維新の会」所属の首長がいる吹田、泉佐野、堺などでは、市職員の賃下げの動きが強まっている。自治労大阪府本部によると、堺市は市庁舎に入居する組合事務所の賃料減免措置について見直しを提案。神戸市でも同じ動きがあるといい、明石市は組織改編に伴って市職労市庁舎からの退去を要求した。

 組合攻撃の影響は、民間も例外ではない。大阪労連事務局長によると、東大阪市のある運送会社では、会社が建交労の組合員を含む従業員に対し「誰に組合加入を誘われたか」を尋ねる調査を実施した。組合側は「団結権を侵害する違法なものだ」と抗議し、調査を中止させたという。宮武事務局長は「違法かどうかではなく、大阪市長がやったから『できる』という意識が広がっており危険だ」と指摘する。

▼全国拡大に現実味

 こうした動きは今後も拡大する可能性が高い。橋下市長は「維新の会」の国政進出を明言しており、次期衆議院選挙で全国に候補者約300人の擁立を検討している。朝日新聞が2月中旬に行った世論調査によると、大阪府民の7割が橋下市長を支持。野田内閣の支持率27%に倍以上の差をつけた。

 大阪自治労連書記長は「すでに大阪だけの問題ではなくなってきた。同じように組合・公務員叩きをする第二、第三の橋下が出てくる。大阪の動きは良くも悪くも全国の先例になる」と懸念を強める。

 橋下人気に注目するのは地方だけでなく、国政も同じだ。支持率の低迷にあえぐ民主党は、前原誠司政調会長が首相公選制などを含む「維新版・船中八策」について「われわれの考え方とかなり共通する面もある」と前向きな姿勢を見せる。自民・公明党は「大阪都構想」や「道州制」で協調路線を示している。みんなの党は熱烈なラブコールを送って共闘を狙う。

▼市民から戸惑いも

 市民の反応は複雑だ。市内のタクシー運転手の男性は「まずは橋下さんに動いてもらわな変わらん。ダメならダメでしゃあない」と期待を寄せる。物流会社・営業職の男性(27)も「橋下さんは政策の説明が足りない」としつつ、「まずは大阪で成功例を」と語った。

 ビッグイシューを販売していた路上生活者の男性(57)は「市政改革で行政目線が強まれば、ホームレスが生きにくくなるのではないか。国政進出が話題になっているが、本当に大阪のことを考えているのか」と顔色を曇らせた。鶴見区の女性(31)は「テレビ受けの発言ばかり」と話すなどエキセントリックな手法に戸惑う声も上がっている。

 組合側は反転攻勢を強める構えだ。市庁舎の退去問題では、全労連系の市役所労組などがすでに大阪地裁に提訴し、組合事務所使用の権利を主張している。連合系の組合はいったん退去したうえで提訴を検討している。労組攻撃の「条例案」の問題では、大阪労連や大阪全労協など7団体が、市民向けの宣伝や全国の労組に橋下市長への申し入れ賛同を呼びかけ、全国400団体を超える賛同が寄せられるなど闘いを広げている。

 橋下独裁政治をここで止められるかどうかの闘いがすでに始まっている。

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