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2012年 3月18日

真の狙いは市民負担増と大型開発
橋下・大阪市政の今〈中〉

「市役所も身を削った」と強調

 組合・公務員叩きを続ける橋下徹市長。そうした攻撃の矛先は職員だけにはとどまらない。市民向けの行政サービス削減が必至となってきた。

▼市民サービスは後退へ

 橋下市長は2月20日の記者会見で、職員人件費の削減によって「市役所も身を削った」として、市民に対しても「他の都市と比べて負担が低い部分は、応分の負担を求めていく」と明言している。市の2012年度当初予算(4~7月分)は、職員の人件費削減などで前年同期と比べてマイナス7・7%に絞り込んだ。つまり、市役所が身を削ったのだから、次は市民が「痛み」を分かち合う番だ、という理屈だ。

 現時点で家庭ゴミ収集の有料化などを検討。市営の水道・地下鉄事業の民営化や保育の民間委託のほか、赤字のバス事業では、運賃の見直し議論も始まっている。民営化がコスト削減やサービス向上につながる保障はどこにもない。こうした市民への負担が強まれば、行政サービスが低下するおそれが強い。

 市長は、4年後には職員数の半減化を行うことも明言している。長年ノウハウを培ってきた職員たちは市役所・市民にとって「財産」とも言うべき存在だが、その先行きは不透明。市は府と異なり行政サービスを直接提供する基礎自治体だ。住民生活への影響は計り知れない。

▼「上司目線」の行政に

 組合・職員への締め付けそのものが、行政サービスの質を悪くすることも心配される。府・市議会に提出されている「職員基本条例案」について府職員らでつくる大阪府関係職員労働組合(自治労連)委員長は「住民目線ではなく、上司目線の職員が増える」と懸念する。

 同条例案は、相対評価で2年連続最低ランクの職員に対し免職も視野に入れた研修などを定めたもの。相対評価とは、本人の努力にかかわらず一定の割合で序列をつける仕組みで、必ず誰かが最低ランクで評価される。

 大阪府職労委員長は「税務職場では、評価を上げるために納税者の事情を無視した差し押さえが行われるのではないか。本当に府・市民のためになるのか」「障害者支援など福祉サービスはチームワークで仕事を行い、一人一人への支援のやり方も違う。評価によって職員がバラバラになることも心配だ」と危ぐする。

▼背景にブレーンの存在

 実は、組合攻撃の背景には、橋下市長の側近・ブレーンの存在がある。市の特別顧問を務める上山信一慶応大学教授は、「職員・OBの厚遇問題」が表面化した関市長時代の2005~07年に市政改革を担当。維新の会ホームページでは、「労組は強い政治力を持っている」と労組を警戒するよう訴え続けている。

 「職員・OBの厚遇問題」とは、実態のない「カラ残業」への手当支給やOB団体に対する不適切な公金支出、過剰な福利厚生などが行われていたこと。当時、上山氏ら改革委員が調査を行い、各種手当や福利厚生の廃止を提言した。それが当時十分できなかったとして、「市役所は外科手術が必要」「自浄能力が無い」と労組と市役所の関係を問題視している。

 自治労大阪府本部書記長は「過去の問題はすでに見直されており、昔の認識のままなのは誤りだ」と反論している。

市庁舎退去は「違法」/市役所労組などが提訴

 橋下市長が5つの労働組合に対し市庁舎から3月末までの退去を求めている問題で、全労連系の「大阪市労働組合総連合」と「大阪市役所労働組合」は3月14日、組合に対する違法な不当介入であるとして、大阪地裁に提訴した。

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