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続・改正派遣法の政省令改定(上) |
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実効性の確保が大切に |
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登録型と製造業務派遣の原則禁止が抜け落ちてしまった改正派遣法。とはいえ、残った改正項目には処遇改善、雇用確保の足掛かりとなりうる項目もあります。厚生労働省内で進められている政省令改定作業で、少しでも実効性を確保したいものです。 ▼(1)もっぱら派遣規制 グループ内に派遣会社をつくり、そこから特定のグループ企業に労働者を派遣する形をとる「専(もっぱ)ら派遣」。正社員を派遣に置き換える常用代替の手法として、特に事務系女性労働者を対象に幅広く使われてきました。 これまではグループ外の派遣先が少しでもあれば、規制はされませんでしたが、改正法は、グループ企業への派遣が全体の8割を超えることを禁じています。初の規制です。 特定グループへの集中度合いは、派遣した労働者全体の労働時間でみます。いかに実効ある規制にするかが焦点です。ただ、違反した派遣会社には「必要な措置を指示」と罰則の弱いところが難点。 ▼(2)リストラ規制 退職した労働者を1年間は「派遣労働者」として受け入れてはならない――との規制も新設されました。社員を退職に追い込み、再び派遣労働者として働かせ、労働条件を大幅に切り下げるというリストラへの歯止めとして期待されます。 ただ、「雇用の機会の確保が特に困難な者」は例外とされています。これは60歳以降の高齢者のこと。定年後、「派遣」での継続雇用に道を開けています。 ▼(3)中途解除の派遣先責任 2008年のリーマン・ショック時に吹き荒れた「派遣切り」の多くが、雇用契約期間を残しての「中途解除」でした。大手メーカーなど派遣先企業が派遣契約を途中で打ち切り、派遣会社が雇用期間途中の労働者を次々に解雇したのです。 改正法では、派遣契約を中途解除した際の休業手当補償の確保を、あらかじめ派遣契約に明記することが義務付けられました。派遣先の「逃げ得」を防ぐものです。 罰則はありません。本来、契約期間分の給与や、1カ月分の解雇予告手当を受け取る権利があるのに、平均賃金の8割という休業補償にとどめていることも問題視されるところです。 ▼(4)無期雇用への転換推進 派遣会社に対し、派遣労働者を有期雇用から無期雇用に転換するよう促す規定も新設されました。無期雇用の機会確保や、派遣後に正規雇用を予定する「紹介予定派遣」、教育訓練を挙げていますが、どれも強制力のない努力義務です。 自公政権時代の最初の派遣法改正案(08年)として出されたものでした。登録型派遣禁止など抜本改正を求める世論をごまかすための代物ですが、条文になった以上、使わない手はありません。 派遣会社にはきちんと実績を報告させ、その情報を公開するなど、努力した派遣会社とそうでない派遣会社を見分けられるような制度運用が必要でしょう。 ▼(5)均衡処遇の確保 派遣先社員との「均等処遇(差別禁止)」には至りませんでしたが、「均衡処遇(バランス)」が初めて書き込まれました。一方で派遣先に対し、同種の業務に従事する従業員の賃金水準の情報提供は努力義務にとどまっています。 この改正でただちに処遇が改善されるというものではありませんが、労組の組織力と団体交渉を通じ、労働条件改善を進める足掛かりにできそうです。 派遣元・先への運用指針(努力義務)には、「差別禁止」の規定を盛り込みたいところです。 |
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