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改正派遣法の政省令改定(下) |
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「派遣料金明示」に抜け穴も |
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改正労働者派遣法は、登録型派遣の原則禁止など根幹となる規制が、民自公の修正合意により骨抜きにされましたが、マージン(派遣会社の利潤)規制やみなし雇用規制などの新たな仕組みは残りました。政省令審議を通じて、使いやすい規制にしなければなりません。 ▼(6)マージン率の公表 派遣会社のもうけは「派遣料金」と「派遣労働者の人件費」の差額。このもうけ分と派遣料金の割合である「マージン率」の公表が義務付けられました。派遣労働者が加入するユニオンに情報が届く仕組みが求められます。 受注競争で派遣料金が値崩れするなか、派遣会社が確実にもうけを増やす方法の一つが、労働者に支払う賃金の圧縮・抑制です。 日本人材派遣協会はリーマン・ショック前、マージン率は約2~3割だと話していました。一般的な労働者派遣の相場だといわれますが、詳細はわかりません。一方、日雇い派遣の場合、日額の賃金があまりに低いため、マージン率は5割に及ぶとの指摘もあり、その規制が求められていました。 改正法は派遣会社に対し、一日1人当たりの派遣料金の平均と、賃金の平均額の差額について、支店など事業所ごとに情報公開することを義務化。公表相手を「関係者」としていますが、労組がこれに該当するかがポイントになります。 ▼(7)労働者への派遣料金明示 改正法は派遣会社に対し、労働者を派遣する際、労働者に賃金や福利厚生などの待遇と併せて、派遣料金も明示するよう義務付けています。 しかし、6月27日に示された省令改定案は(1)当該派遣料金(2)事業所の派遣料金平均額――のどちらでもいいことに。(2)の内容は明らかな後退と言わざるを得ません。 健全な労働市場をつくり劣悪な業者を排除するには、必要な情報の公開が欠かせません。 ▼(8)違法派遣時のみなし雇用 違法派遣が発覚した際、派遣先が派遣労働者に対し直接雇用を申し入れたとみなす規制が新設されました。といっても、施行は3年後に先送りされてしまいました。 そのため、今回の政省令改定の検討事項にもなっていません。改正法の問題点としては、偽装請負や二重派遣、事前面接などの違法行為に対応できていないこと、違法があっても派遣会社が「知らなかった」場合は免罪されることです。 ▼(9)国、自治体への準用 違法派遣は国や自治体でも起きています。労働法の救済が直接届かない分野だけに、民間企業以上に深刻だといってもいいでしょう。改正法は「みなし雇用制度」の趣旨を踏まえ、国や地方自治体などの機関でも、雇用の安定を図る観点から「適切な措置」を講じるよう求めています。 ▼(10)施行1年後で見直し 棚上げとされた登録型派遣や、物の製造業務への派遣のあり方については、施行(2012年10月)後1年を目途に労働政策審議会で改めて議論することが参院の付帯決議に盛り込まれました。 ILO(国際労働機関)が今年3月、日本政府に対し、第181号条約(民間職業仲介事業)違反の疑いを突きつけた登録型派遣。その究極の姿である日雇い派遣は、昨年末の民自公の修正合意で野放しになる恐れがあります。不十分な政省令改定案の抜け穴を防ぐとともに、規制に向けた運動を仕切り直すことが求められます。 |
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