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日雇い派遣は野放し状態に |
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抜け穴だらけの検討案 |
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「改正労働者派遣法」が成立し、厚生労働省内では10月施行に向けて、政省令の改定作業が行われています。昨年末の与野党の修正合意により、日雇い派遣禁止の内容は大幅に後退していますが、そのうえさらに、厚生労働省の検討案には多くの「抜け穴」が設けられています。 ▼幅広い「例外」を設定 日雇い派遣は1999年の派遣法改正で、派遣が原則自由化され合法化されました。低賃金や、労働災害の多発だけでなく、違法天引き、賃金不払い、多重派遣など違法の横行は、労働規制緩和の流れを変える契機となりました。 その後の改正作業は曲折をたどります。 最初の転機は09年の政権交代。「30日以内の派遣の原則禁止」と小幅な改正にとどまっていた自公政権時の改正法案が再び練り直され、社会保険加入義務のない「2カ月以内の派遣」については、原則禁止に。 しかし、野田政権発足後の昨秋、自民、公明との密室の修正合意で、登録型、製造業務の原則禁止を棚上げに。日雇い派遣についても、自公政権時の「30日以内の派遣禁止」に再び後退させたのです。 その下で、厚労省の労働政策審議会・労働力需給制度部会では、政省令の改定作業が5月末から始まりました。具体的には、日雇い派遣原則禁止の「例外」設定がテーマの一つ。基本的には、専門性があるとみられる業務か、生活にゆとりのある人、就業困難な人であれば「例外」にするという考え方です。中身をみてみましょう。 ▼(1)派遣が可能な「業務」 厚労省案は現行の専門26業務のうち、「専門性がなく交渉力に乏しい業務(建築物清掃、テレマーケティングなど)」と、「日雇い派遣がほとんど利用されていない業務(放送機器操作、インテリアコーディネーター、アナウンサーなど)」を禁止業務に設定。その他の17業務余りを日雇い派遣が可能な「例外業務」としています。 例外のなかには、通訳や秘書など専門性の高いものもありますが、「ファイリング」「事務用機器操作」など解釈の幅の広い業務も含まれています。 ▼(2)派遣が可能な「場合」 「副業として従事する者」「主たる生計者ではない者」など、生活に比較的ゆとりのある主婦や学生、親元で暮らす若者、仕事に就くのが困難な高齢者を「例外」とし、日雇い派遣をさせてもよいとしています。 日雇い派遣は、若者や高齢層の多い「単純労務」の仕事に広がっています。規制の目的は本来、低賃金、労災多発という劣化した雇用の改善だったはず。これでは現状は良くならず、「骨抜き」と言われても仕方がないでしょう。 ▼罰則もザル状態 同省によると、前述の(1)か(2)のどちらかに該当すれば、日雇い派遣ができます。 禁止業務と知りながら労働者を受け入れた派遣先に対し、直接雇用の責任を負わせる「みなし規定」の施行は3年先。(2)のケースの違反については今のところ罰則が明確ではありません。つまり、抜け穴を防ぐ規制もザル状態だということです。 規制されたと思っていたのに、いつの間にか日雇い派遣が広がり、まともな求人がなくなっていた――という悪夢のようなことにならないよう、引き続き注意が必要です。 |
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