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2012年10月 2日

すぐに労働委員会に申し立てを
〈労使関係壊す「合同労組対策」〉下  

組合側の対応にアドバイス 

 「地域合同労組対策」を請け負う弁護士の共通の特徴は、「団体交渉を求める資格」について、労組側に繰り返し「釈明」を求めることだ。既に経験を積んだ組合は「すぐに労働委員会に救済を申し立てるべき」「論争に付き合わないこと」とアドバイスする。

▼「争議は不可避」

 「(組合員の名前や、職責、組織運営、目的など、団交権の有無に関する)労組の適格性についてやたらと『釈明』を求める文書が届いたら、すぐに労働委員会に救済を申し立てること。労委も手の内を分かっているので、おおむね1年以内で解決する」。全労協全国一般東京労働組合三多摩地域支部の朝倉玲子書記長はこう述べ、「争議は避けて通れない」と断言する。

 東京労組は都内音楽教室での5年に及ぶ争議の末、東京高裁で完勝。判決は、労組の適格性を否定する会社側の主張を退け、降格処分からの原職復帰と、その間の賃金の遡(そ)及支払いを命じた。労組は今も健在だ。

 朝倉書記長は迅速な救済申し立てと併せ、残業代不払いなど労働基準法違反があれば必ず労働基準監督署に申告し、支払われなければ刑事告発をすぐに行うべき――とも付け加える。

 刑事手続きになれば、社長が出頭を命じられる。順法意識の乏しい経営者に事の重大さを認識させるには最も効果的な手段だ。

▼労委では必ず門前払い

 東京管理職ユニオンの鈴木剛書記長は「労組の適格性を否定する主張は労働委員会ではまず門前払いにされる」と述べ、労働委員会や裁判所の審理のほかでは論争に応じないことが賢明と強調する。

 都内社会福祉法人での組合結成では、「合同労組対策」の弁護士がついた。法人側は、労組委員長が管理職であることを挙げ、「なぜ委員長という立場になりうるのか」との釈明を求めてきたが、ユニオンは論争に付き合わず「労組の自主的な判断に属すること。貴殿ら使用者から疑問を呈されるいわれはない」と突っぱねた。

 組合員名の明示や、要求事項の事前開示要求も一切相手にせず、「釈明がないことを理由に団体交渉を拒むと不当労働行為になる」とだけ伝え、不毛な法律論争に乗らない姿勢を打ち出している。

 この争議も救済申し立て後1年以内に決着するペースで進んでいるという。

▼回答書は「シャチハタ」

 労組への対応の仕方にも共通の特徴があるという。

 面談はもちろん、電話、メールを嫌い、連絡は全て書面の提示を求めてくる。組合員の名前や肩書、職責の明示、要求内容の事前通告、出席者の人数制限(3~4人程度)を求めるほか、交渉は社外の施設を使い、時間も2~3時間に限定することが多い。

 団交に社長が出ることはまずない。署名は担当部長名が多く、押印は「シャチハタ」。

 組合活動上の注意点として、朝倉書記長は(1)就業時間中の会社への連絡は組合の責任で行う(組合員に行わせない)(2)社前の抗議や宣伝では必ず社外で行っている姿を撮影しておく(3)申し入れ時はボイスレコーダーを携え、業務妨害ではないことを証明する記録を残す――を挙げる。初手から争議を意識した対応が必要との指摘だ。

▼経営者をミスリード

 集団的労使関係の構築を重視する連合にとっても、個人加盟の地域ユニオンは組織化の重要な柱の一つ。連合東京の傳田雄二副事務局長は連合ユニオン東京ではめったに遭遇することはないとしつつ、「とにかく労組に関わりたくないという経営者が頼りにするのも事実」とみる。

 相手方にそのような弁護士がついた場合は、「『その理屈では負けますよ』ということをいかに理解してもらうかが大切」。例えば町内会や商店会など、あらゆる人間的つながり、ルートを使って、経営者への説得を試みるという。

 都労委の委員でもある傳田氏は、労働委員会が労使の交渉を見守る「立ち会い団交」も経営者の不安を除くには有効だと活用を促したうえで、「合同労組対策」を進める弁護士については「負ける主張をふりかざし、経営者をミスリードしている」と厳しく批判する。

 会社が労組への敵視を続ければ、組合員は必死であらがう。働く者が時間と労力の浪費を強いられるだけではない。職場はすさみ、事業の生産性は低下する。争議が長期化し泥沼化するかたわらで、だれが利を得るのか。答えは言うまでもないだろう。(おわり) 

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