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2012年 7月26日

「原発労働者の使い捨て許すな」
ジャーナリストの布施祐仁氏が講演 

福島第一原発の作業実態語る 

 昨年3月に放射能漏れ事故を起こした福島第一原子力発電所での事故収束作業について、ジャーナリストの布施祐仁氏は7月23日、都内で講演し、ずさんな安全管理とピンハネの横行が特徴だと告発した。「労働者の使い捨てを許してはならない」と繰り返し訴えた。

 原発では、工事を発注する東京電力を頂点に元請けの東芝・日立、その下に無数の下請け業者が存在する。原発作業に不慣れな労働者たちが送り込まれているという。

▼「線量隠し」は日常的

 布施氏によると、事故直後は放射線に関する5時間程度の教育訓練が30分前後に短縮され、「何の知識もなく作業員が現場に放り込まれていた」。防護服や長靴が足りず、レジ袋を代用。顔の全面を覆うマスクの使い方すら周知されない状態で、「無駄に被曝を強いられた」と明かした。

 昨年5月以降、死者や熱中症で倒れるケースが相次いだため、安全対策が行われたものの、昨年12月に下請け会社が作業員の線量計を鉛板カバーで覆い、数値をごまかす事件があったことが今年7月に発覚。「日常的にあること」と話した。

▼給料は事故前と同じ

 給料のピンハネも横行している。元請けから危険手当が支払われているにもかかわらず、「労働者が受け取る手当はゼロ。給料も事故前と同じで、被曝量だけ増えた人もいる」。背景には下請けの実態が違法な「人材派遣」であり、人手を集めるために手配師の仲介が黙認されていると指摘。労災が発生しても、公にすると懲罰的に下請け業者が仕事を受注できなくなるため、「労災隠しの力が働く」という。

▼健康管理もずさん 

 現在、原発の緊急作業で被曝線量が100ミリシーベルトを超えないと、毎年の健康診断を受けられないため、対象は全作業員2万1634人中わずか167人だ。内部被曝についても、2ミリシーベルト未満だと放射線管理手帳に記入されない運用が行われているといい、「低線量被曝と内部被曝の問題が切り捨てられている」と批判した。

 脱原発運動のあり方にも触れ、原発労働者の安全確保やピンハネの是正について、もっと声を上げる必要があると訴えた。

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