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2012年 7月20日

アルバイトを「4年雇い止め」に
喫茶店ベローチェなどで新制度を導入 

「納得できない」と反発も 

 喫茶店「ベローチェ」などの運営会社が、全店舗のアルバイト従業員約5000人に対し雇用契約の上限期間を通算4年までとする制度の運用を始めた。一部の従業員からは「長年会社に貢献してきたのになぜ4年でクビになるのか納得できない」と戸惑いの声が上がっている。

 3月下旬。千葉市の中心街にある「カフェ・ベローチェ千葉店」で働く20歳代の女性アルバイト店員は休憩時間中、居合わせた店長からこう告げられた。

 「アルバイトさんの契約更新に上限ができるらしいです。4年を超えると、来年3月で更新できなくなります」

 「クビになるということですか」

 女性が確認すると、店長は「そうみたいです。来年は大変なことになる」とそっけなく答えた。

 会社側の説明に納得できない女性ら3人が翌月、「首都圏青年ユニオン」に加入。5月末の団体交渉で「上限4年」制度の撤回を求めたが、会社側は「検討する」と回答しつつ、ほかのアルバイト全員に対し「通算4年間の勤務で満了とします」と明記した契約書に順次、サインを求めた。

 「長年会社に貢献してきた人をどうして辞めさせるのか。十分な説明が一切ない」。こう困惑した様子で語るのは、前出の女性従業員。ユニオンに加入した3人はほぼ4年以上同店で働き、いずれも店長不在時に店舗の運営を任される「時間帯責任者」だ。

 ベローチェのアルバイト従業員は、運営会社「シャノアール」(本社・東京都豊島区)と3カ月ごとの雇用契約を結んでいる。これまで更新回数に制限はなかったが、今年度から上限を15回まで(通算4年)とする制度が始まった。ただし、「猶予措置」として来年3月までは4年以上働いているアルバイトも契約更新は可能だとしている。

 アルバイトの大半は大学生だ。「上限4年」が導入されてもほとんどのバイトは影響を受けないが、約3割いる主婦やフリーターは生活費を稼ぐため長く働いている人も少なくない。女性は「時間帯責任者になるには約2年かかります。新人教育や在庫管理、コーヒーの仕込み、クレーム対応など店長とほぼ同じ業務をこなすので、経験が必要です。ベテランをクビにすれば経営にとってもマイナスになる」と会社の方針に首をかしげる。

 こうした会社の対応についてユニオンの河添誠書記長は「労働契約法改正の動きの影響がある」と指摘する。国会では、パートや契約社員など有期雇用で働く人が同じ職場で5年を超えると、無期雇用への転換権が与えられる「労働契約法の一部改正法案」が提出されている。労働界からは、「法案が成立すれば、企業が無期化を回避するために5年の手前で雇い止めが横行する」との懸念が出ているが、「先取りした動きだ」(河添氏)とみる。

 ユニオンは6月、組合員3人については当面、「更新上限のない従前の雇用契約のまま働く」ことを確認。引き続き「4年上限」制度の撤回を求めている。前出の女性はこう訴える。

 「私は、『正社員にして』とか『無期雇用にして』とか求めていません。3カ月更新のままでもいいから長く働きたいだけです。会社にとって負担は変わらないのに、『長く働くことがいけない』と言われているようでおかしい」

 シャノアールの総務人事部は連合通信社の取材に対し、これまでアルバイト従業員の雇用期間に上限がなかったのに対し、契約社員は通算3年までと制限されていたため、「社内から疑問の声があり、2年前から検討に入っていた」と説明。大半のアルバイトが学生であることも考慮した結果、契約社員を5年に延長する一方、アルバイトは4年にしたなどとして、「有期雇用法制の影響は受けていない」と否定した。

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