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2012年11月 6日

組合つぶす意図でだまし討ち?
アミカス事件で福岡市当局  

周到な「雇い止め計画」明らかに 

 福岡市男女共同参画推進センター「アミカス」の嘱託職員雇い止め事件は、市当局が嘱託でつくる労組をつぶそうとした構図が見えてきた。10月31日の中央労働委員会の審問で、市側の周到な雇い止め計画の跡が明らかになった。

 福岡市は2011年3月末、アミカスの図書館司書や相談員の女性嘱託職員3人を5年の雇用年限を理由に雇い止めにした。自治労福岡県本部加盟のアミカス嘱託職員ユニオンは「労使合意に反し、その後も不誠実団交が続いた」と不当労働行為の救済を申し立てたが、同県労委は同12月に棄却。事件を調べる場は中労委に移っている。

▼表向きは「理解」

 事件のポイントは、雇い止め前の10年11月に結んだ労使合意だ。市側は年限を迎える職員の後任は公募しようとしていたが、組合は06年に年限を受け入れた後も一貫して撤回を求め続けたために方針転換。年限の職員だけを対象に非公募選考を行い、「経験と実績」に基づいて合否を決めることで交渉は折り合った。

 中労委の審問では、市側の責任者だった市民局長(当時)が合意したときの発言が明かされた。額面どおりならば、職員は「選考を受ければ雇用は約束される」と期待するのも当然だ。

 「雇用の心配をかけているのは理解している。アミカスの機能を充実させたい。協力をお願いする」

▼実は「採用の意思なし」

 しかしその後、市側は狡猾(こうかつ)といえる手を用いた。試験内容は面接と小論文だったが、面接は受験者の「経験と実績」を知らない外部の大学教授らが行い、小論文も2時間以内に2つの課題を1200字ずつ書かすもの。審問で証言した市民局長は「(この試験で)経験と実績はにじみ出る。全員採用するとは言っていない」と主張した。

 市は同年12月に受験した組合員8人中3人を不合格とし、直後には広報紙へ載せる公募通知を提出。組合の抗議も聞き入れず、翌春雇い止めを実行した。

▼組合は維持すら困難に

 3人のなかには、勤務歴22年の大ベテランである組合書記長がいた。組合はその後、脱退者も出ており、上司が職員に「加入しないように」と告げるなど維持さえままならない。

 本多玲子委員長は中労委の委員に「私に直接何もしてこなくても、遠回しの組合嫌悪行為もあることを分かって」と訴えた。一方、市民局長は前出の合意時での発言が建前と本音の使い分けだったことを認めた。

 「(労使)交渉だから『(嘱託職員のみなさんの)気持ちが分からない』とは言えない」

 審問は12月6日にも開かれ、その日に結審する見通し。非正規公務員の生活を危うくした福岡市の行為に対する判断に注目だ。

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