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『遭難フリーター』俺らは機械じゃない

著者　　岩淵弘樹

「俺らは機械じゃない、人間だ」 　話し合いにさえきちんと応じない会社に対し、筆者の同僚の派遣労働者が発したことばです。 　筆者は、正当な労働条件を求めるデモや集会にも参加し、自分の置かれた劣悪な環境が社会とつながっていることを自覚していきます。ただ、本書のおもしろさは、筆者個人を通じて同じ職場（埼玉県のキヤノンの工場）で働く友人や同僚らの姿を活写したこと。自身の借金地獄に陥っていく様子や、別れた恋人のことなどが生々しく語られます。 　「マスコミが報じる『非正規労働者』という霧のようなイメージを逆照射するような個々の息吹を感じてほしい」（本書から）　ビデオカメラを寮などに持ち込み、自分や同僚の惨めな姿を撮影した同名のドキュメンタリー映画も制作されています。一方、本では、カメラが入れなかった工場内の労働者の肉声に触れることができます。（幻冬舎アウトロー文庫、571円＋税）
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