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そば屋ののれんに書かれた「更科(さらしな)」とか「藪(やぶ)」とかの文字。おおよその味や風味を判断するアイコンにもなっているのですが、そもそもは「系図」を表しています。本書は、これら老舗のルーツを探りながらそばの歴史を概観しています。 東京の老舗そば屋の中で最も歴史が古い「砂場」は、実は発祥は大阪だったというのにはちょっと驚かされます。それが江戸に進出して人気店になって……。そば好きなら、その「系図」をたどりながら、それぞれの味を想像して読むのも楽しいかもしれません。 雑穀であり、高級品ではなかったそばが江戸でどのように広がっていったのか、当時の社会状況や世相とともにつづられ、歴史物として読んでも面白い。現在のそばブームを食文化として考察しているところも、安易なグルメ本とは一線を画しています。(光文社、648円+税) |
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