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話題の本

『帰省』

藤沢 周平著
(文春文庫、600円+税)

 藤沢周平の時代小説は、名もなき下級武士らを描くことが多く、そこに引かれる読者は多いのでは? シリーズ化されたものを含めて多くの遺作が残っていますが、意外に少ないのがエッセイです。本書は没後10年あまり経った2008年にまとめられたエッセイ集に、未発表の8作品を加えて文庫化されました。

 藤沢エッセイは亡くなった後に見つかるものが多く、それは「自分の書いたものをすべて保存し記録しておくという、作家としてごく普通の習慣を持たなかった」(本書の解題)からだとか。ファンとしては今でも「新作」が読めるという恩恵に浴することができるわけです。

 テーマ、時代はさまざま。小説家は専門外の政治に対して必要以上に発言しないとの信条を示しつつ、選挙民として意見があれば口を出すとして、「政治」ものもいくつか発表しています。時代背景は異なりますが、現代に置き換えても通じる政治批評になり得ています。


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