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話題の本

『管理職の本分』

高杉 良

 経済・企業小説の第一人者である高杉良ですが、最近は、20世紀の終わり頃から世界を席巻した新自由主義や市場原理主義、特に日本でその旗手となった小泉純一郎と竹中平蔵を手厳しく批判しています。

 売れっ子作家の哲学には聞くべきものが多いのですが、本業の小説では銀行や証券会社などで働く人たち、特に中間管理職に光を当てた作品が多いのが特徴です。罪深き経済政策の被害者の苦悩が作品の核となり、またストーリーに魅力を与えています。

 本書は、その真骨頂といえる作品です。舞台は大手生命保険会社。ワンマン会長が支配するこの会社を外国資本が狙いをつけます。自力での再建はもはや不可能となり、外資系生保との提携が進んでいきます。この中で奔走し、翻弄されていく主人公。上の意のままに職務を果たせば役員の椅子が待っていますが、「管理職の本分」を貫こうとして……。(講談社文庫、695円+税)


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