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話題の本

『純米酒を極める』

上原 浩著

 「酒は純米」と、筆者は繰り返し本書で強調します。じゃあ、純米酒じゃない酒って? 答えは、「醸造用アルコール」を加えた酒のことです。銘酒とされる「久保田」なら、「萬寿」は純米ですが、格下の「千寿」は工業的につくられた醸造用アルコールが添加されています。

 本書によると、コメとこうじと水だけによる伝統的つくり方が途絶えたのは1943年。戦時下のコメ不足の中で何とか酒づくりを続けようとした苦肉の策としてアルコール添加が始まりました。ところが、戦後になってコメが余るようになっても、低コストなどの要因からアルコール添加は続けられました。純米酒が復活したのは1967年のこと。

 現在では、醸造用アルコールの質も向上し、純米でなくてもおいしいものもあります。筆者も今すぐ添加をやめるのは難しいと言いますが、アルコール添加の酒を「清酒」とは呼んでも、「日本酒」と認めることを疑問視します。

 日本酒文化論としても、読み応えある一冊です。


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