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『裁判百年史ものがたり』

夏樹 静子

 作家の夏樹静子が、その時代に社会の注目を集めた裁判に焦点をあて、ノンフィクションノベルとして発表しました。

 本書で取り上げられた「松川事件」のように、法廷外で大衆運動に発展した事件は物語としても醍醐味を感じます。ほかの事件でも作家の目で裁判記録の行間を読み、サスペンス小説さながらに仕立てられた12の裁判物語には思わず引き込まれます。

 筆者は「素人でも楽しく読んでもらえるように『ものがたり』として書くことを心がけた」といいます。しかし、ただ面白さだけを追うのではなく、その時代とその後の時代の中で判決がどんな意義をもっているかを意識した筆致も見逃せません。例えば、戦中の「翼賛選挙無効事件」では、無効判決を下した裁判長の苦悩という人間ドラマを描きつつ、司法権の独立というテーマがクローズアップされます。

 ほか、帝銀事件、永山則夫事件などが取り上げられています。(文春文庫、629円+税)


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