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公務労働を考える

04年中越地震・山古志村は今

自然の猛威 目の当たりに

 自然条件を行かした村づくりが復興の基礎体力に

 5月20,21日と、自治労連都道府県職交流集会のオプションツアーとして設定された、山古志村被災地視察に参加させていただきました。現地の他の参加者からは、「京都の人はいつ来るの?」と言われていたようで、本番抜き、オプションだけのはるばるの参加でした。
(山が地滑り、川がせき止められ天然ダムに)
 復旧工事が真っ盛りの現地では、野次馬のような見物は邪魔になり迷惑なものなので、関係者以外立入禁止とされていましたが、元村職労委員長の取り計らいと案内により実現しました。参加者は20数名で、マイクロバスにより現地入りしました。
 現地へは急勾配で曲がりくねった道を辿り、至る所で斜面崩壊があり、復旧工事車両が行き交っていました。視察先メインは芋川を堰き止め天然ダムとなった所ですが、元委員長の「あっちにあった山が無くなってこっちに来ていて驚いた」との説明が印象に残っています。つまり急なガケが崩れるような山崩れではなく、山そのものが動く「地すべり」であったわけです。ただ現地では、「こっちに来た山」は復旧工事により既に削られており、想像力を逞しくするよりありません。そしてその水面下には民家が水没しているとのことでした。
 未だに避難している人が多く、住民の姿は少ないのですが、散髪屋の「ぐるぐる」が回っており、元気に営業していました。考えてみると、住民は居なくとも、工事関係者は一杯で、「災害景気」に預かっているのでしょう。ここで、村ぐるみでダムに反対した木頭村の藤田村長の言葉を思い出しました。
 「ダム工事の度に村は沸き返り賑やかになるのだが、終わると夢を見ていたかのように波が引き、気がついてみると、さらわれるように娘が居なくなっている、それを何度も繰り返した」というものです。
 ここで至る所で地すべり被害に遭った山古志村の地形を少し解説します。国土地理院発行の地形図を見るとため池の多さに驚きますが、これらは錦鯉の養殖池です。これらの池は元々は棚田であったものですが、そうした緩傾斜地形を造ったのが、地すべりが相次ぎ、現在もその最中にある造山運動だったわけです。この地域では地下水が豊富で、大人が這ってはいる程度の大きさの横井戸を掘って水源としています。地すべり運動が活発なのは、断層による破砕帯が多いことや地質的な要因と共に、地下水位が高いためにすべり土塊に浮力が働き滑りやすくなっていることなどあります。
(山古志村は、長岡市と合併)
 したがって、横井戸により湧水を集めて棚田や養殖池の水源としているのは、結果として地下水位を下げ、地すべり運動を防止していたわけですが、地震の猛威には勝てなかったわけです。しかしこのような自然条件を生かした村づくりは、復興のための基礎体力となると思われます。
(八海山のカタクリの群生)
 興味ある人は、国土地理院のhpから地形図を閲覧してみてください。ため池の多さに目が回ります。
 こんなオプショナルツアーでしたが、そのまたオプションとして、六日町温泉で疲れをとり、次の日は八海山の散策を楽しみました。ラッキーなことにカタクリの群生に逢うことができました。
 おしゃべりついでのおしゃべりをすれば、「山古志村」も「六日町」も今はありません。
土木建築部会、乙訓支部・Nさん
 昨日あった山が無くなった 自然の力に驚いた

 5月20日(土)に自治労連都道府県職部会のオプションツアーで、山古志村に行くことができました。特別の許可がないと入ることができません。
 村に入ると何故村に入ることを禁止しているのか、すぐに分かります。地震があってから1年半以上経過しているのに、山地崩壊で寸断された道路の復旧がままならず、山地がズリ落ちた茶色の山肌に沿って造られた仮設道路を工事車両が動いていました。こんなところに一般の車が入ってきたら大混乱です。
 案内をしてくれた前山古志村村職(山古志村は今年の2月に長岡市と合併)の委員長は地震の直後に村に入った時の印象を「村での生活は今後不可能だ、と思った」と語っておられました。また、「昨日まであった山がなくなって、谷の方に動いていたのでびっくりした。小さな谷川が山で遮られて湖が出来てしまい、上流側にあった家が水の下に沈んでしまった」ということです。
 自然の力の大きさに今更ながら驚く光景でした。
 東海、東南海の海溝型巨大地震はこれから30〜40年の間にほぼ確実に起こると言われており、その大地震の前の数10年は直下型の地震も多くなると言われています。国も府も国民保護計画なるもので外国からの攻撃や、大規模テロに備えるということに熱心です。
 しかし、行政として今必要なことは、安全な地域づくりのため耐震強度不足の家が密集している地域などに対する具体的な施策を講じることだ、とあらためて感じた旧山古志村のツアーでした。
土木建築部会、綴喜支部・Kさん


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