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「2040構想」と地方自治の課題
京都自治労連 2019春闘討論集会昨年の総務省「自治体戦略2040構想研究会」(以後「2040構想」)報告は、現在、市町村が担っている行政サービスを、市場化、中心都市と周辺自治体を範囲とする「圏域」単位で行うことを「標準化」し、ITなどで公務員を半減させるなど、自治体の変質をすすめるものです。 京都自治労連が12月22日に開催した春闘討論集会で、龍谷大学の本多滝夫教授を講師に学習会が行われました。講演の要旨をご紹介します。 〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜 高齢化社会の自治体戦略 総務省の「2040構想」報告では、我が国の人口が2008年の1億2,880万人をピークに減少し、2040年には1億1,092万人となること、高齢化が急速に進行し、2015年に3,387万人であった高齢者人口は、2042年に3,935万人でピークを迎え、75歳以上人口はその後も2054年まで増加し続けると見込んでいます。 このような状況に対して同報告では、2040年頃に迫りくる我が国の内政上の危機を、@若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏、A標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全、Bスポンジ化する都市と朽ち果てるインフラととらえ、2040年頃を見据えた自治体戦略の基本的方向を打ち出しました。 自治体を国の統治機関と位置づけ そこには、人口減少時代に合った「新しい社会経済モデル」を検討することが必要として、それぞれの自治体が土木行政や農林漁業、教育、福祉までのすべての責任を果たすという従来の「行政のフルセット主義」を排するよう求め、自治体の在り方を根本から変えようとしています。 その主な内容は、@スマート自治体への転換、A公共私による暮らしの維持、B圏域マネジメントと二層制の柔軟化、C東京圏のプラットフオームです。 2040構想の基本的な問題点は次の3点です。@「内政上の危機」を地方統治構造の改革で対応しようとしている。=『内政上の危機』は地域社会や自治体が解決する課題として、その責任を負うかのような理論展開になっている。A自治体行政を国(省庁)の施策を実施するプラットフォーム(OS)でしかないと見ている。=地方公共団体を国家機構の統治機関の一つとして位置づけ、団体自治や住民自治、国民主権を無視した改革構想。BITCによる人員削減が、容易であるように見せかける。=AIで半減された自治体職員で、災害に立ち向かうこと自体が机上の空論です。 自治体が岐路に・・・公務労働者の出番 2019年度総務省概算要求に、2040構想の推進として7.3億円が計上されており、既に具体化が進められています。2040構想に対抗するためには、@『理論上の対抗』:地方自治(住民自治・団体自治)の重視、2階層となっている地方自治(道州制ではない)の憲法的根拠の明確化と、専門性に裏打ちされた公務労働による公共性の実現すること、A『政策・施策上の対抗』:ICTの活用政策と人員削減政策との切断、公的サービスの産業化の阻止、自治体間の対等・平等を前提とした自治体連携を拡げること、B『現場での対抗』:窓口業務の外部委託化の阻止と、職場環境の「ホワイト化」が大切です。自治体労働者・労働組合の果たす役割はより一層強まっています」と、期待を述べて講演を終わりました。 |
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