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「立憲主義の破壊許さない」 |
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自民党との討論は望むところ |
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私は改憲論者の立場から、憲法9条を改正すべきだと30年以上前から主張してきました。侵略戦争を放棄し、自衛のための戦力を認める内容とし、条文をより明確にする趣旨です。しかし近年の、国民をたばかるような安倍政権の「壊憲」の動きは、立憲主義を破壊するものであり、許されるものではないと考えています。 ▼憲法は「守らせる」もの 日本社会では、まだまだ憲法が何かがしっかり理解されていません。以前、憲法記念日のデモ隊に遭遇した時、「憲法を守ろう、9条を守ろう」というスローガンが掲げられていましたが、そうではなく「憲法や9条を政府に守らせよう」と訴えるべきです。 憲法は、国民が国家権力に守らせるためのマニュアル(手引書)であり、国民が守るべきルールである民法や刑法など他の法律とはまったく異なるのです。 立憲主義の歴史を振り返ってみましょう。 世界で最古の成文憲法は、「アメリカ合衆国憲法」です。18世紀後半、大英帝国との独立戦争に勝利した人びとは、王と貴族による封建制を排し、憲法によって権力を縛る「立憲主義」をうちたてました。弱い存在である人間が国家権力を預かるのだから、間違いを犯すこともある。憲法を通じて、国民がそれを規律していくという仕組みです。 国家はそこに住む個々人を幸せにするための「サービス機関」であり、それが誤作動しないように憲法で枠を与える――それが立憲主義の考え方です。 ▼離婚が違憲になる? 自民党が2012年に発表した「日本国憲法改正草案」では、国民が政府を縛る憲法の趣旨がひっくり返り、憲法が国民にさまざまな義務を課し、各人の自由に踏みこもうとしています。憲法研究者から見れば、基礎知識を欠いた恐ろしい内容です。 例えば憲法草案には「家族は、互いに助け合わなければならない」という条文がありますが、これでは離婚は憲法に反することになってしまいます。婚約は人生で一番大事な契約ですが、頭に血が上った状態ですることも少なくありません。だから民法は、離婚についてもクールに定めているのです。そこに憲法が介入するのは「よけいなおせっかい」です。 また国旗・国歌を憲法で定めている点も問題です。入学式や卒業式で君が代を歌わない者は「非国民!」と非難されかねません。個人の信条や良心に任されるべき問題に憲法が踏み込むべきではありません。 この草案には、一定の価値観を国民に押し付けようとする表現が随所に見られます。そのような社会は、「自由」で「民主」的な社会とはいえません。 ▼正々堂々と議論を 安倍政権は昨年7月、「緊急の課題」として閣議決定により集団的自衛権の行使に道を開きました。しかし、政府の主張する「国の存立が脅かされる事態」とは、個別的自衛権で対応可能なものであり、米国など他国の戦争に加担して海外派兵するという狙いを覆い隠す詭弁(きべん)に過ぎません。憲法9条を無視した行いです。 それに、緊急の課題と言うのなら、なぜ昨年夏から国会での議論を先延ばししているのか。衆院選や統一地方選が終わり、国民の関心が冷めた5月の連休明けに審議するというやり方はおかしい。既成事実をつくって国民を欺くつもりかと疑われても仕方ありません。 私は国民の理解を深めるためにも、メディアなどでの自民党との討論は望むところなのですが、先方はなかなか応じません。 歴代自民党政権は、憲法9条の故に専守防衛に徹することを国是としてきました。それを変えるというのなら、立憲主義にのっとり正々堂々と国民的な議論を行うべきではないでしょうか。〈連合通信〉 |
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